労働環境の安全性を確保することが、生産性や品質、信頼性の向上につながる（2/3）

働く人と一緒に職場の課題を見つけ、ヒューマンエラーの防止についても提案

　安全診断は、働く人たちと労働安全の専門家が一緒になってその職場の課題を見つけることから始まります。
　「事故などを引き起こす原因、いわば事業所内の『弱み』を明確にした上で、具体的な改善策を提案します。設備機器や施設環境といった物理面はもとより、人的な側面にも目を向け、ヒューマンエラーがなぜ起こり、どのように防止していくのかについても考え、企業側に分かりやすく指導しています」

　藤本さんは、東北地方から四国にかけ、全国各地から招きを受けて講演を実施。民間企業のほか、公益法人や社団法人からも声がかかり、自治体が主催する研修会にも赴きます。
　固い話題だけでなくユーモアも交えた語り口は好評で、研修に出席していた企業の社長から「今度はうちの会社でも話してほしい」と依頼されることもあるとか。

　「講演では、ヒューマンエラーの本質や指差し呼称の重要性といった労働災害に直結するテーマをはじめ、近年、中小企業でも対策が義務化されたパワーハラスメントなど幅広く扱います。アンケートでは毎回95％以上の方から理解できたとの評価をいただいています」

　この他、藤本さんら協会のメンバーは、兵庫県の産業経済の発展を目的とする「ひょうご産業活性化センター」に経営専門家として登録。同センターの要請を受けて県内の中小企業を訪れ、助言を行っています。
　また2022年度からは、兵庫県と新産業創造研究機構（NIRO）の事業の一環で行われる安全診断に協力するとともに、安全の専門家として指導に当たっています。

＜次ページへ続く＞

【次ページ】大学院で安全行動学を研究し、安全について心理学からアプローチ

次のページへ