相続登記の申請義務化について-part 2
2026年4月1日から、改正された「区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)」が施行されます。今回から、シリーズで主な変更点などをお知らせしてまいります。このコラムで単に「法律」との記述は、区分所有法を指します。
社会的背景-「二つの老い」
日本全国には2023年末時点で700万戸を超えるマンション(注:このコラムで「マンション」との記述は分譲マンションを指します)が存在し、およそ1,500万人がマンションに居住していると考えられます。マンションには「二つの老い」といわれる問題が指摘されています。
(1)建物の老朽化
700万戸を超えるマンションのうち築40年以上の高経年マンションはおよそ137万戸(2023年末時点)で、全体の20%近くになっています。高経年の建物は現行の耐震基準を満たしていない場合があり、耐震性が不足する建物は危険な状態にあるといえます。
(2)区分所有者の高齢化
高齢化などのため所有者が住まなくなることによってマンション管理に対して関心を失いやすく、合意形成が困難になる原因になっていました。
このような課題に対応するため、今回の一連の法改正が実現しました。
改正ポイント その1.区分所有建物の管理の円滑化
(1)管理に関する一般的義務
区分所有者に管理に関する一般的義務があることが明文化されました。
(2)総会の決議の円滑化
改正前(アップ時点では現行、以下同様の記述です)の法律では、総会決議において区分所有者および議決権の過半数(または○分の○以上)という厳しい要件が設定されていました(絶対多数決の考え)。このため、総会に出席せず議決権を行使しない区分所有者と、所在等が不明である区分所有者は、総会に出席して決議に反対した区分所有者と同様に扱われていました。このことが管理組合での意思決定を滞らせる原因となっていました。
今回の改正により、裁判所が認定した所在不明、または連絡がつかない区分所有者については、総会決議の分母から除外できる制度が創設されます。絶対多数決が維持される決議(建て替え決議など)における母数の算定からも除かれるため、実際に参加することができる区分所有者の意思で決議が進めやすくなります。全員の承諾に基づく書面等による決議(45条1項)が成立する可能性が増すことも考えられます。
また、総会の決議は一部の例外を除いて出席者の多数決によって決めるという出席者多数決の仕組みが採用されます。改正前は、普通決議では管理規約に定めることによって採用することができましたが、今後はこの方式が一般的になります。なお、普通決議以外では原則として過半数の出席が必要という議決定足数が設けられます。
(3)多数決要件の緩和
共用部分の変更(経常または効用の著しい変更を伴わないものを除く=重大な変更行為を指します)決議には、除外決定の裁判を受けた区分所有者を除いたうえで、出席者多数決と議決定足数の仕組みを取り入れました。基本的な多数決割合は、区分所有者および議決権の各4分の3以上という従来の要件を維持しつつ、共用部分の設置または保存に瑕疵がある場合や、バリアフリーのための利便性及び安全性を向上させる場合には、多数決要件を3分の2に緩和しました。
(注)法律の条文では「集会」と規定されていますが、ここでは一般的な用語である「総会」と表記します。管理組合の規約においても「総会」と規定して、法律に定める集会とすると定めていることが多いと思います。
これ以外にも重要な変更点がいくつかありますので、引き続き順次お伝えしてまいります。
<参考文献>
「ジュリスト」2025年9月号の特集ページ 区分所有法制の見直し(有斐閣)
「新旧対照でわかる改正区分所有法の要点」(新日本法規)
「Q&A区分所有法の改正-マンションの管理と再生の新しい仕組み-(令和8年4月施行)」(大成出版社)



