家の寿命は「定期的な住宅診断」で決まる。5年・10年ごとのメンテナンスで長持ちさせる住まいの守り方
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完成後に「こんなはずじゃなかった…」と思わないために
家を建てる、あるいはリフォームするとき、誰もが夢や期待を持って打ち合わせに臨みます。しかし、完成した後に「カタログで見ていたイメージとは全然違った」「もっと広く感じると思っていたのに、実際は圧迫感がある」と後悔される方が、残念ながら少なくありません。
私自身、現場監督として21年間、数多くの建物の建設に携わってきた経験から、このような「完成後の後悔」がどれほどお客様を落胆させるか、痛いほどわかっています。後悔の多くは、打ち合わせの段階でのイメージ共有が不十分であることから生まれます。平面図だけでは、空間の広がりや光の入り方、素材の質感などを正確に把握することはなかなかできません。「図面の上ではよさそうだったのに」という声を、私はこれまで何度も聞いてきました。
そこで、私が打ち合わせで必ず活用しているのが、3Dパースによるリアルタイムの可視化です。ノートパソコンを現場や打ち合わせの場に持参し、その場でお客様と一緒に3D映像を操作しながら、窓の大きさや位置、光の入り具合、部屋の奥行きや天井の高さなどを立体的にご確認いただきます。外壁・屋根材の種類や形状、壁・床・天井の色合いも、その場でリアルタイムにアレンジできます。ナチュラル、スタイリッシュ、シンプルモダンなど、お客様のイメージに合わせて画面上で何度でも変更しながら、「これです!」と納得していただいた状態で着工に進む。それが私のこだわりであり、後悔を生まないための最大の工夫です。
着工後に「やっぱりここを変えたい」という変更が出ると、工期が延び、費用も大幅に割り増しになります。お客様にとって、それは予算面でも精神的にも大きな負担です。だからこそ、事前の段階で丁寧にイメージをすり合わせ、完全に納得していただいてから工事に入ることを私は何より重視しています。「あの時、窓の位置を変えて本当によかった」「ドアの向きを調整してもらったおかげで使いやすい」と言っていただけること——それが私のやりがいの源です。
20年以上の現場経験が育てた「構造を知る設計力」
私は高校を卒業後、建築系の専門学校へ進みました。製図の授業で建物を図面として描く面白さに目覚め、気づけば時間を忘れて黙々と取り組んでいました。卒業後は19歳で建設会社に入社し、そこから約21年間、現場監督として鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)の建物の工事管理を担当しました。学校、共同住宅、工場、ドライブイン、店舗など、大型の建物を数多く立ち上げてきました。
長年にわたって現場で図面を引き、構造と向き合い続けたことで、耐震性・耐風性の基礎をしっかりと身につけることができました。しかし同時に、大型の「箱もの」建築では、作業を効率化するために建材が規格化されており、次第に「決められた形を作るだけ」という感覚が強くなっていきました。そこで私がひかれるようになったのが、木造住宅です。大工の技術が随所に生き、デザインの自由度が高く、木のぬくもりが感じられる住まい——それは、大型建築にはない魅力に溢れていました。
かねてから独立を志していた私は、働きながら専門資格の取得に向けて勉強を続けました。一級建築士、1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、既存住宅状況調査技術者——これらの資格を取得し、人脈を広げ、万全の準備を整えた上で、2015年に40歳で独立開業しました。翌年から3Dパースを作成するソフトウェアも独学で習得し、2019年には株式会社ケーズワークとして法人化を果たしました。
現場監督時代に磨いた構造への理解は、今も設計の根幹を支えています。耐震性・耐風性を確保しながら、お客様の暮らしやすさを最優先にした間取りを考える。家事のしやすさ、生活動線の効率、子どもが安心して過ごせる空間づくり——生活のひとつひとつを丁寧に想像しながら、最適なプランニングをご提案しています。「基本的にはお客様のご希望を優先するが、使い勝手が悪くなる場合は率直にアドバイスする」という姿勢を一貫して大切にしています。
住宅診断で「突然の出費」と「暮らしの支障」を防ぐ
私が特に力を入れているもうひとつのサービスが、「住宅診断(ホームインスペクション)」です。住まいは建てた後も、時間の経過とともに少しずつ劣化していきます。屋根・外壁・基礎・床下・水回りなど、プロの目で定期的にチェックすることで、目に見えない劣化を早期に発見し、建物を長く健やかに保つことができます。
たとえば、キッチンやお風呂を入れ替えるリフォームの際、工事中は水が使えない期間が発生します。こういった時に、事前に把握できていなかった不具合が発覚すると、修繕に予想外の時間がかかり、仮住まいが長引くケースもあります。急に仮住まいの物件を探さなければならなくなると、賃料という突然の出費が生じ、生活にも大きな支障をきたします。あらかじめ住宅診断を受け、不具合箇所を把握した上でリフォーム計画を立てていれば、こうした事態を防ぐことができます。
私がお勧めしているのは、5年・10年周期での定期的な診断です。この周期で建物をプロの視点でくまなく確認することで、異変をいち早く把握できます。全面改修になれば費用は大きくかさみますが、早期発見ができれば部材・部品の交換だけで済む可能性が高まります。「水回りの床がふわふわする」「踏むとたわむ感触がある」——こういった小さなサインは、湿気や水漏れで床下の下地が傷み始めているサインかもしれません。気になることがあれば、ぜひ早めにお声がけください。
メンテナンスでは予算に合わせて「今すぐ修繕が必要な箇所」と「現状維持で問題ない箇所」を整理してご説明します。プロとして正しい判断をお伝えし、無理のない計画を一緒に立てることも、私の大切な仕事だと考えています。
「できないことはできない」と言える誠実さが、長いお付き合いを生む
私が長年の仕事を通じて最も大切にしてきたのは、誠実さです。構造上の安全性が確保できない改修については、「それはできません」とはっきりお伝えします。お客様の希望に何でも「Yes」と言うことが親切なのではなく、リスクを正直に説明し、最善の選択肢を一緒に考えることこそが、本当のプロの姿勢だと思っています。
独立から今日まで私を支えてくれているのは、現場で長年ともに汗を流してきた職人さんたちです。会社の看板ではなく、「狩谷茂」という人間を信じてついてきてくれた仲間の存在が、何よりの財産です。その仲間とこつこつ積み上げてきた実績が、株式会社ケーズワークの施工品質を支えています。一棟一棟、真剣に向き合い、完成の喜びをお客様と共に分かち合う——そのくり返しが、私の仕事の核心です。




