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札幌・桑園でライフスタイルショップ「ARCHIBLEU(アルシーブル)」を運営している酒井です。
第一回目のコラムでは、私がARCHIBLEUという店を立ち上げた背景と、店づくりに込めた考えについてお話ししたいと思います。
家具と向き合ってきた22年間
私は独立するまで、約20年間、オーダー家具を中心とした仕事に携わってきました。
専門学校で家具を学んでいた期間を含めると、家具との関わりは約22年になります。
これまで家具のデザインや設計、製作、施工、販売、修理など、家具に関わるさまざまな仕事を経験してきました。
オーダー家具の仕事では、お客様の要望を形にするために、素材や構造、使いやすさ、製作方法、そして価格まで、あらゆることを考える必要があります。
家具は、見た目の美しさだけでは成立しません。
どれだけ美しくても、使いづらければ意味がありませんし、構造に無理があれば長く使うことはできません。
反対に、決して派手ではなくても、細部までよく考えられた家具には、確かな魅力があります。
そうした経験を積み重ねる中で、家具そのものだけでなく、家具を取り巻く暮らしや空間全体にも、より深く関心を持つようになりました。
そして、これまで培ってきた経験や感覚を、自分自身の考えで表現できる場所をつくりたいと思うようになりました。
家具を取り巻く環境の変化
私が家具の仕事を始めた20年ほど前と現在とでは、家具の売り方や選ばれ方も大きく変わりました。
当時はSNSやオンラインショップが今ほど一般的ではなく、家具は実際に店へ足を運び、見て、触れて、販売員と話をしながら選ぶことが当たり前でした。
札幌でも、百貨店の家具売り場や地域で長く営業してきた家具店などが、家具を探す場所の中心でした。
そうした店には、素材や構造、張地、修理などについて豊富な知識と経験を持つ販売員や専門家が多くいました。
現在ではインターネットでさまざまな商品を比較でき、家具だけでなく、雑貨やアパレル、アートなどを一緒に提案するライフスタイルショップが増えました。
その一方で、百貨店の家具売り場は縮小し、長く地域で営業してきた家具店も少しずつ姿を消していきました。
家具について専門的な相談ができる場所や、つくり手に近い視点で商品の魅力を伝えられる場所は、以前より少なくなっているように感じます。
また、商品を選ぶ際にも、ブランドやデザイン、空間全体の雰囲気が重視されることが増えたように思います。
もちろん、直感的に気に入ったものを選ぶことも、ブランドの世界観に魅力を感じることも、決して間違いではありません。
ただ私は、そこにもう一つ、専門的な知識や経験に裏付けられた価値があっても良いのではないかと考えていました。
なぜ、その商品を選んだのか。
どこに魅力を感じ、何が優れていると思うのか。
その理由を自分自身の言葉で伝えられなければ、見た目の雰囲気だけで終わってしまうように感じます。
だからこそ、自分の店に求めたものは、「説得力」でした。
ARCHIBLEUが大切にしていること
ARCHIBLEUは、家具、雑貨、アパレル、古物、アートなどを扱うライフスタイルショップです。
扱うジャンルだけを見れば、今の時代には特別珍しい店ではないかもしれません。
しかし、私の中では、それぞれの商品を選ぶことにも、同じ空間に並べることにも、きちんと理由があります。
家具は、デザインだけでなく、構造や使いやすさ、製作方法まで考え抜き、自分自身が納得できるものをつくること。
雑貨は、見た目の良さだけでなく、素材や技術、つくり手の仕事に信頼が持てるものを選ぶこと。
アパレルや古物、古着は、知名度や流行だけにとらわれず、自分の目で見て、本当に良いと思えるものを選ぶこと。
そして、それらの家具や道具と自然に共存できるアートを、自分自身の手で描くこと。
つまりARCHIBLEUは、流行や表面的な統一感だけで構成した店ではありません。
これまで見てきたもの、学んできたこと、仕事を通して培ってきた経験、そして自分が良いと感じてきた感覚。
そのすべてを、一つの空間に持ち込んで構成した店です。
私は、家具だけで空間が完成するとは思っていません。
家具、照明、雑貨、アート、そして日々使う道具や身に着けるもの。
それぞれが確かな理由を持って選ばれ、無理なく同じ場所に存在するとき、その空間には独特の説得力が生まれると思っています。
ARCHIBLEUが目指しているのは、そうしたバランスの取れたミックススタイルです。
有名なものだけが、良いものではない
家具やインテリアの世界には、長く愛され続けてきた名作と呼ばれるものが数多くあります。
もちろん、そうしたものは素晴らしいと思います。
時代を超えて評価されてきたものには、それだけの理由があり、私自身も多くの影響を受けてきました。
ただ、名作だけが最高の品だとは思っていません。
無名なものの中にも、本当に良いものはあります。
作家名やブランド名だけでは測れない魅力を持ったもの。
広く知られていなくても、素材や形、佇まい、仕事の精度に確かな価値が宿っているもの。
そういうものは、確かに存在します。
私は、そうしたものがきちんと評価される場所をつくりたいと考えました。
有名か無名かではなく、良いものを良いと感じられる場所。
知識を持って商品を選びたい人にも、直感や感覚を大切にしたい人にも、その魅力を自分の言葉で伝えられる場所。
そして、家具について専門的な相談をしたい方にも、安心して足を運んでいただける場所。
それが、私の考えるARCHIBLEUです。
長く家具の仕事に携わる中で培ってきた経験や感覚、そして「こんな店があればいいのに」と思い描いてきたものを、一つの形にした場所でもあります。
だからこそ、表面的な雰囲気の良さだけで終わらせず、商品にも、空間にも、そこに込められた考えにも、しっかりとした説得力を持たせていきたいと思っています。
これから、このコラムで伝えていきたいこと
これからこのコラムでは、ARCHIBLEUのことだけでなく、家具の選び方や構造、素材の特徴、日々のメンテナンス、オーダー家具の考え方など、これまでの仕事で得てきた知識や経験を少しずつお伝えしていきたいと思います。
ときには、古物やアパレル、アートなど、家具の周辺にあるものについても書いていくつもりです。
専門的な内容もあるかと思いますが、できるだけわかりやすく、実際の暮らしや家具選びに役立つ内容にしていきたいと考えています。
このコラムを通して、家具やインテリアの奥深さ、そして良いものを長く使う楽しさを、少しでも感じていただければ幸いです。
今後ともARCHIBLEUをよろしくお願いいたします。


