ペアシェイプカットダイヤモンドの婚約指輪
現在、当店に限らず日本で実際に購入されている婚約指輪の約9割がプラチナ製です。
一般的にジュエリーに使われる貴金属はプラチナだけではありません。イエローゴールドやピンクゴールド、ホワイトゴールドなど、プラチナ以外のジュエリーも多いものです。しかし、婚約指輪となると9割の方がプラチナをお選びになっています。どうしてでしょうか?
まず第一に婚約指輪に使われるセンターストーンがダイヤモンドであることが関係しています。しかも婚約指輪の場合、無色透明のかなり高品質のダイヤモンドを使用される場合が多いため、イエローゴールドやピンクゴールドなど色のついた金属だと石を留める座や爪の色がダイヤモンドに映り込んでしまいます。その点、白色のプラチナだと無色透明のダイヤモンドそのままの美しさを引き出してくれます。
ただ、白色の貴金属といえばホワイトゴールドも一般的に使用される素材です。プラチナを日本語では「白金」と呼びますが、英語に直訳してみると文字通りホワイトゴールドとなりますので混同されやすいのですが、「白金」はホワイトゴールドではなく、プラチナのことです。両者には決定的な違いがあります。ここにプラチナが選ばれる第二の理由があります。プラチナは元来白色の貴金属ですが、ホワイトゴールドはゴールドという名の通り、あくまでも金なのです。黄金に輝く、あの金です。
実はプラチナも金も純粋な状態では非常に柔らかく、そのままでは実用的なジュエリーとはなりません。そこで他の金属を混ぜることで強度を高めています。プラチナの場合、用途によって85%~95%のプラチナにパラジウムというプラチナと同じ白金属元素を混ぜて強度を高めるのが一般的です。また、金の場合は75%の金に銀や銅を混ぜて強度を高めるのが一般的なのですが、ホワイトゴールドとはその残り25%の金属にパラジウムやシルバーなど白色の金属を混ぜて強度を高めるとともに白色にしています。ただプラチナのような純粋な白色にはなりません。そこでこれまた白金属元素のパラジウムという金属のコーティングをしています。
見た感じ両者は良く似ています。しかし、ホワイトゴールドは使用していく過程でどうしてもコーティングがはがれ、元の薄金色が出てきます。よくホワイトゴールドは変色するという方がおられますが、正確には変色ではなく、元の色が出てくるということです。
プラチナは生まれながらに白色の貴金属であり、長い年月を経ても、腐食や変色の心配のない金属であること。これが婚約指輪にプラチナが選ばれる第二の理由なのです。
使用頻度の低いリングや、他のものと接触する可能性の低いペンダントやピアスなどのジュエリーであれば、あまり問題ではないかもしれません。しかし、永く使っていく婚約指輪や結婚指輪では非常に大切なことだと思います。