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個人保証を外すために必要なこと

石田雄二

石田雄二

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『個人保証を外すために必要なこと』
…個人保証を外し思い切った事業展開をしませんか。
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経営者が借入に消極的になる理由のひとつに個人保証がありま
す。多額の借入をして事業に失敗すると、連帯保証人となって
いる経営者は多くの場合で法的整理を免れません。

金融庁は、中小企業経営者の思い切った事業展開を後押しする
ため、「経営者保証に関するガイドライン」を策定し、金融機
関が個人保証に頼らずに融資を行うことを推奨しています。

金融庁が公表している当ガイドラインの活用に関する参考事例
集の中から、事例をひとつご紹介します。

■ ある地域銀行の事例
経営管理の強化に取り組んでいる取引先に対して経営者保証を
求めなかった事例

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等
・当社は、建設工事及び建材卸売業を営んでおり、建材卸売部
 門では大手メーカーや商社等と代理店・特約店契約を結んで
 おり、多種多様な商品(内外装タイル、ユニットバス、耐火
 壁、エレベーター等)を取り扱っている。
・震災復興関連工事の受注の増加により増収基調が続いており、
 内部留保も厚く堅固な財務内容を維持している。
・当行は、メイン行ではないものの、増加する震災復興関連工
 事に伴う資金需要に対応してきたところ、当社から短期資金
 の借入の相談があった。
・また、借入の相談の際に、当行本部から送付されたガイドラ
 インのパンフレットを見た経営者から、経営者保証を求めな
 い融資の相談を受けたことから、ガイドラインの内容を改め
 て説明するとともに、当社から提出のあった直近の試算表や
 工事概況調等を勘案しつつ、ガイドラインの適用要件等の確
 認を行った上で回答することとした。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容
・当行の営業店では、案件受付票の作成に合わせ、今回新設し
 た「経営者保証に関するガイドラインチェックシート」を活
 用し、適用要件の確認を実施している。当該手続による確認
 の結果、以下のような点を勘案し、経営者保証を求めないで
 新規融資に応じることとした。

-1.決算書類について「中小企業の会計に関する基本要領」に則
 った計算書類を作成し、地元の大手会計事務所が検証等を行
 っているなど、法人と経営者の関係の明確な区分・分離がな
 されていること
-2.内部留保も厚く堅固な財務内容を維持しており、償還面に問
 題がないこと
-3.四半期毎に試算表等の提出を行うなど、当社の業況等が継続
 的に確認可能なこと

・当社とは、長年の取引を通じてリレーションシップは十分に
 構築されている。震災復興関連工事の増加による業況の拡大
 が、ガイドラインで求められている返済能力の向上に寄与し
 ている面は否めないが、当社が、外部専門家による検証等を
 含め、経営管理の強化に従来以上に取り組むことを表明して
 いることから、当行としても、業況の把握に留まらず、当社
 の経営管理体制の構築について引き続き積極的にアドバイス
 を行っていく方針である。

ご覧いただいた通り、個人保証を入れずに済むためには要件が
あります。当該案件の場合、下記の要件を満たしていることが、
個人保証を求めない要因となっています。

(1)決算書に信憑性があること。
(2)財務内容が良好であること。
(3)経営状況を継続的にディスクローズする体制が整っていること。

業況や財務内容だけでは不十分で、高い経営品質を求められて
いることが分かります。毎月の試算表はもちろん、資金繰り表
等を用いて金融機関と円滑なコミュニケーションを取れる体制
の構築が必要です。

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石田雄二
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