経営改善計画書の策定費用の3分の2を支援する補助金
弊所にて運転資金の調達をご支援したA社の事例です。目標調
達額は2,000万円で、4行の銀行に融資を申し込み、2行
はNGとなりましたが、1行はプロパー融資で1,000万円、
もう1行もプロパー融資で2,000万円を決定し、合計で
3,000万円の調達を行いました。
民間の金融機関に融資を申し込むと、大きく分けて2種類の融
資を提案されます。「信用保証協会の保証付き融資」と「プロ
パー融資」です。信用保証協会の保証付き融資は、一義的な審
査は信用保証協会が行いますので、どの金融機関から申し込ん
でも、可否の結論は概ね同じです。しかし、各金融機関独自の
審査基準で行っているプロパー融資は、A社の事例のように、
結果に大きなばらつきが出ます。
A社の評価が分かれたのは、「利益ベースでは黒字」だが「資
金ベースでは赤字」だった点です。「資金ベースで赤字」とは、
経常収入より経常支出の方が大きいことを意味します。具体的
には、「経常収支比率」が100%を切っている場合や、「キャ
ッシュフロー計算書」の営業キャッシュフローがマイナスの場
合です。
黒字なのに資金赤字になる要因はいくつかあります。売掛金の
回収サイトが長い等、不利な取引条件で営業活動を行っている
場合、利益は黒字でも資金赤字になるケースがあります。また、
売掛金や在庫を水増しして黒字決算を装った場合も、資金ベー
スは赤字になります。
A社は資金調達に苦労していたようですが、この粉飾の疑念が
要因のひとつと考えられます。よって、売掛金や在庫のエビデ
ンスを用意し、まず、各銀行に粉飾ではないことを理解してい
ただきました。ここがスタートラインです。
その結果、2行は説明に納得して融資を決定しましたが、残り
の2行は、「粉飾でないことは理解したが、資金赤字であるこ
とに変わりはない。黒字倒産の懸念もあるため、今回の融資は
見送りたい。」との回答でした。
社長は結果には満足しておられましたが、「同じ条件なのに銀
行によって答えが違うことが不思議だ。」とおっしゃいました。
銀行によって、支店によって、支店長によって、担当者によっ
て、また、その時の銀行の営業状況によって、プロパー融資の
対応は違ってきます。
まずは、融資可能なシナリオを構築することが先決ですが、ボ
ーダーラインのプロパー融資の相談は、複数行にあたることを
おすすめします。