『貴社の試算表はどのようなポリシーで作成されていますか。』
銀行借入に救われた会社… 銀行借入に苦しんだ会社…
借入には多様な側面があります。良い借入と悪い借入を考えてみます。
■ 売上の増加に伴う仕入資金不足を補うための借入。
「売上が伸びる」という好調な環境の中で発生する資金需要です。
良い借入です。売上代金の回収が確実であれば、積極的に借入を行いましょう。
但し、販売先の倒産、不良品の返品などが発生すれば、借入だけが残ってしまう
ことになりますので注意が必要です。また、売上金の回収時期と仕入代金の支払時期
を合わせるなどして、そもそも運転資金が不要になる努力をすることも大切です。
■ 本社ビルを購入するための借入。
キャッシュフローが安定していれば良い借入です。
さらに、現在支払っている家賃よりも、返済額や固定資産税額をおさえることが出来れば、
経費の削減につながります。但し、いざと言う時の不動産の流動性(売却のしやすさ)なども
総合的に判断する必要があります。
■ 銀行の担当者が熱心にすすめてくる借入。
資金を使うあても無いのに銀行の担当者が進めてくる借入は、もしもの為に備えた
倒産回避資金として借入すると良いでしょう。企業の局面によっては、良い借入です。
■ 新たに店舗を出店するための借入。
既存店舗のキャッシュフローで新店舗出店資金の返済が出来るのであれば、
安心して挑戦できます。良い借入です。既存店舗のキャッシュフローはトントンで、
新店舗の見込みキャッシュフローで返済を考えている場合や、既存店舗が赤字で
新店舗の出店で逆転を考えている場合は、借入のリスクが高まります。
■ 売上の減少を補うための借入。
人件費等の経費が支払えない状態は赤字の可能性が高いです。
「受注が既に決まっていて数か月後には入金が見込まれる」「保証金の戻りが決まっている」など、
返済の目処が明確であれば急場をしのぐために借入をあてることができます。しかし、
返済の目処が無い場合は良い借入とは言えません。勇気は要りますが、リスケなどで対応するのが
良いでしょう。
借入は、倒産を回避し事業を拡大するためのツールです。
大きなリスクも当然ありますが、リスクだけを見ていては事業が伸びません。
良い借入を積極的に活用してください。