薬剤の使用過多による頭痛の症状─薬が効かない、毎日の頭の痛み
いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。
本日は、二次性頭痛についてです。
頭痛の基礎知識としての三回目のコラムになります。
【概要】
頭痛の中でもすぐに治療を受けないと生命に危険がおよぶ二次性頭痛について、その種類や特徴を紹介します。
「いつもと違う」と感じる頭痛は二次性頭痛 すぐに病院へ
一般的に頭痛持ちの人の多くは、日常生活において不定期に頭に痛みを感じるといった症状を抱えております。
頭痛の程度の差こそあれ、市販薬を飲むか、何もしなくても時間がたてばやがて治るような頭痛がほとんどです。
このような頭痛は、「一次性頭痛」と思われます。
それに対し「二次性頭痛」とは、普段ほとんど頭痛を感じることがない人が頭に痛みを感じるというように、「いつもと違って、何かおかしい」と感じる頭痛です。
二次性頭痛にあてはまる症状には、この他に次のようなものがあります。
・突然、激しい頭痛がおこる
・痛みが急に強くなる
・発熱する
・手足のしびれやけいれんが起こる
・意識がもうろうとなる
このような症状が出ているときは、医師の診察を受ける必要があります。
場合によっては救急車を呼ぶことも必要です。
二次性頭痛の原因としてあげられる脳卒中
二次性頭痛の代表的なものに「脳卒中」があります。
この病気は、がん、心臓病に次ぐ日本における死因の第3位。
脳卒中は、「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3つに分類することができます。
脳の血管が詰まるのが「脳梗塞」、脳の血管が破れて出血するのが「脳出血」、脳の表面の大きな血管にできたコブ(動脈瘤)が破れて、くも膜と軟膜の隙間に出血するのが「くも膜下出血」です。
【脳梗塞】
症状
・頭が重い、頭の奥でジーンとしびれた感じがする
・顔、腕、足などに麻痺が出る
・言葉が出ない、ろれつが回らない
・意識がもうろうとなり、両目が片側に寄る
・片半身の麻痺
・吐き気、嘔吐
原因
・なんかの心疾患が原因で、心臓内にできた血栓がはがれて脳の血管まで飛んで詰まる
・高血圧や喫煙、糖尿病や脂質異常症などで、頚(くび)・脳などの太い血管の動脈硬化で血管がふさがる
・主に高血圧が原因で、脳内の細い動脈が変性、閉塞する
【脳出血】
症状
・頭痛が徐々にひどくなる
・吐き気や嘔吐
・手足などの麻痺やしびれ
・ろれつが回らない
・物が二重に見える
原因
・おもに高血圧です。
【くも膜下出血】
症状
・ハンマーで殴られたような激しい痛み
・首の付け根からうなじが痛んだり、首筋が硬直する
・肩こりがひどいと感じる
・意識がもうろうとなり、昏睡状態になることもある
・出血量が多いと、嘔吐やけいれん発作をともない、意識を失う
・大出血となる数日~数週間前に、脳動脈瘤から少量の出血があることもあり、この時も頭痛がある
原因
・高血圧
・喫煙
・飲酒
・家族にくも膜下出血になった人がいる。脳動脈瘤を持つ人がいる。
脳卒中以外の二次性頭痛を引き起こす病気
【脳腫瘍】
症状
・頭痛がする前に腫瘍がある部位によって、ふらつきや意識障害、視覚や聴覚の異常、手足の麻痺や嘔吐と耳鳴りやめまいなどが起こることが多い
・頭全体か一部に圧迫感、鈍痛
・起床時に強い頭痛を感じて、その後痛みが軽くなることが多い
・腫瘍が増大するにつれて頭痛もひどくなる
原因
・他臓器のがんの転移
・遺伝子の変化や生活習慣
【椎骨動脈解離】
症状
・首の骨の中にある椎骨動脈の内側の内膜に傷がつき、血液が入り込んで血管が裂けていく
・解離した場所から血栓が飛んで脳梗塞を発症することもある
・後頭部の片側がずきずきと痛む
原因
・マッサージやスポーツ、日常動作などで首を急に動かしたとき
・外傷や交通事故などで頭部打撲や首にダメージを受けたとき
・喫煙
【慢性硬膜下血腫】
症状
・頭部の外傷後、1~2カ月後に、頭蓋骨下の脳を覆う硬膜と脳との間に血腫ができて脳を圧迫する
・首を左右に振ると強い痛みを感じる
・頭が重い
・認知症のような精神症状
・嘔吐
・片側の麻痺やしびれ、歩行障害
・痙攣
・失語症
原因
・頭のケガ
・大量の飲酒
・脳に萎縮がある場合
・脳が出血しやすい人、脳梗塞予防薬を服用している人
【副鼻腔炎】
症状
・カゼをひいた時に、顔の中にある空洞内に膿がたまり、色がついた鼻水が出る、鼻づまりがする
・前頭部や顔面の痛み
・眉間や頬骨をたたくと痛みを感じることもある
原因
・ウイルスまたは細菌感染
【髄膜炎】
症状
・脳や脊髄を保護する髄膜や髄液が炎症を起こす、カゼとよく似た発熱や頭痛
・吐き気
・後頭部から首筋が硬直する
原因
・ウイルスや細菌感染
・悪性腫瘍や自己免疫疾患
・薬剤による副作用
【帯状疱疹】
症状
・ズキズキとキリで突き刺すような痛みや、脈に合わせてズキズキ痛む
・帯状疱疹の感染場所によって、頭痛の場所は変わる
原因
・水疱瘡のウイルスが、加齢・ストレス・免疫力低下などで再び活動を始める
【巨細胞性動脈炎(別名:側頭動脈炎とも呼ばれており指定難病のひとつ】
症状
・高齢者の女性に多く、こめかみにある動脈が膨れて痛みをもたらす
・血管の中に、巨細胞という核をもつ巨大細胞がみられる
・全身炎症症状(発熱、倦怠感、体重減少など)
・片方の頭の痛み 他、体のあらゆる血管で起こる
・進行すれば、動脈解離や脳梗塞、心筋梗塞へと悪化することがある
原因
・自己免疫疾患と考えられている