広島市中区いのうえ内科脳神経クリニックにおける頭痛患者さんの統計
おはようございます。
寒い朝。
明日は大晦日、いろいろあった2018年が過ぎていこうとしてます。
2019年は災いのない平和な年でありますように。
本日は、片頭痛患者さんの頭痛の原因は片頭痛でなかった?というタイトルでお話をしたいと思います。
片頭痛患者さんの頭痛の原因は片頭痛でない
「えー、先生!誤診ですか?」
「いえいえそうではございません。あなたの頭痛は片頭痛ですが頭痛の要因は別のところにありました。」
片頭痛の要因
・睡眠障害・睡眠不足/睡眠過多
・精神的ストレス
この二点はすごく多い。
そして
・副鼻腔炎・顎関節症などの耳鼻科的疾患
・アレルギー疾患
・食事内容(チョコレートも)
・運動不足
・貧血・甲状腺障害・癌などの全身疾患
と続きます。
まれに、原疾患を治療したら頭痛が起こらなくなるかたもいらっしゃいます。
この場合は誤診です。
しかし頭痛が月に10日もおこっていたのに、原疾患を治療したら頭痛は年に数回になったというかた。
この場合は、やはり片頭痛。
片頭痛が原疾患により誘発されていたと思われます。
上記の項目を全部説明することは紙面の都合上ムリなので以下に示す要因以外はリンクを参照してください。
リンクは原因名をクリックしていただければと思います。
睡眠障害について
平成30年11月16日から17日に、東京で開催された第46回日本頭痛学会にて睡眠と片頭痛の関連がとりあげられました。
起床時におきる頭痛といえば、薬剤の使用過多による頭痛と睡眠時無呼吸症候群が有名。
睡眠時無呼吸症候群を合併している片頭痛の患者さん18名中12名が、CPAPというマスクをつけて寝ると頭痛の回数が減ったとのこと。
また
就寝前に足がむずむずして寝られないという、むずむず脚症候群の患者さんでも治療と同時に頭痛の回数が減ったとのこと。
わたしの患者さんでも
睡眠5時間のかたに7時間睡眠にかえることで頭痛の回数はあきらかに減ってます。
睡眠と頭痛の関連はかなり密接だと考えます。
じつはあたりまえのことと考えられていて、エビデンスが少ないのがこの睡眠との関連。
今後の臨床研究の蓄積に期待します。
精神的ストレス
こちらもあたりまえと考えられて、エビデンスが少ない。
うつ状態の治療、会社を辞めるなど自宅休養で頭痛の回数は減ります。
では週末だけでもストレスを減らすのは?
これは逆に頭痛回数が多くなる傾向があり。
注意するところです。
片頭痛は環境や体調の変化で誘発
別のコラム・ブログなどで書いておりますが片頭痛は環境や体調の変化で誘発されやすいのです。
雨が降りそうになれば頭痛。
天気予報よりも正確とも。。
女性のかたであれば月経で誘発されることが多いのが片頭痛。
精神的ストレスも週末のみストレスがなくなるのであれば週末に体調がかわり頭痛が誘発。
という結果になりかねません。
禅宗のお坊さんのように、無心で心を動かすことなく、365日を生活することが片頭痛の予防にはよいのです。
頭痛回数多いとだめ?
ダメです。
頭痛は我慢できるし、頭痛のときは仕事を休めるからいいじゃないと言われるかたもいます。
頭痛回数が多いかたには目を光らせています
上記のような理由となる原疾患が隠されていること。
頭痛回数が多いと薬剤の使用過多による頭痛になり、さらに苦しむこと。
そして
頭痛回数が多いと将来脳梗塞などを合併するかもしれないから。
片頭痛発作を減らせば脳梗塞におこりにくくなる
片頭痛は発作頻度が高いほど、血管へのダメージが大きくなり脳梗塞の発症のリスクが高まると考えられます。
これは前兆のある片頭痛の女性患者さんにおいて懸念。
また近年では心筋梗塞や狭心症などを罹患するリスクも片頭痛患者さんでは多くなると懸念されております。
頭痛発作回数を減らすことでそのリスクを軽減できるのではと考えます。
【参考文献】
Donaghy et al. Duration, frequency, recency, and type of migraine and the risk of ischaemic stroke in women of childbearing age. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2002 Dec;73(6):747-50.
Lipton et al. Framingham-Based Cardiovascular Risk Estimates Among People With Episodic Migraine in the US Population: Results from the American Migraine Prevalence and Prevention (AMPP) Study. Headache. 2017 Nov;57(10):1507-1521. doi: 10.1111/head.13179. Epub 2017 Oct 9.