難治性片頭痛
脳神経専門のクリニックいのうえ内科脳神経クリニックの井上です。
本日は片頭痛発作をもっていただろうと思われるモーツアルトとその音楽について
モーツァルト(1756~1791)
35歳で若くして亡くなったモーツアルトです。
腸チフスや天然痘など当時のヨーロッパで流行した感染症にも罹患。
体型も小柄だったので一部のひとによると、モーツアルトは虚弱体質だったのだろうといわれます。
一方
モーツアルトは人生の三分の一にあたる期間、いろいろ旅行にでかけ音楽活動をつづけたといわれます。
他人の評価はあてになりませんが、後者の事実からするとモーツアルトは精力的であり決して虚弱児ではなかったかもしれません。
モーツアルトが亡くなる一年前くらいから持病の頭痛発作に苛まれたようです。
このころは病弱な妻の療養費の工面などの借金も多く精神的にも病んでいたようです。
一流音楽家としての評判も落ちていたそうです。
このころにモーツアルトが借金の無心をし友人に宛てて書いた手紙が残ってます。
1790年4月8日(あるいはそれ以前かも)
私自身がお目にかかり、じかにお話したいのですが、頭全体がリューマチ性の痛みですっかり縛られたようです。そのための私の苦境もいっそう身にしみて感じられます。――もう一度、差し迫っています。できましたらお助けください。(ウィーンにて)
1790年5月
とても残念ですが、じかにお話するために外出できません。なにせ歯の痛みと頭痛がいまだにひどく、とくにまだ強い病変を感じます。(中略)いまはあなたに率直に打ち明けました。どうぞあなたに出来るだけのことで結構です。あなたの、真の友情の気持ちが許すかぎりのことを尽くしてくださるよう、心からお願いいたします。(ウィーンにて)
1791年1月(亡くなるのがその年の12月5日)
ピアノ協奏曲変ロ長調K.595を完成。
7月には激しい頭痛と嘔気に苛まれながらレクイエムの作曲。
死の直前四時間前まで譜面に向かい12月5日未明帰らぬ人と
レクイエムは、未完に終わりましたが弟子によって完成され、天上の響きともいえる美しい旋律で知られていますね。
東京女子医大の名誉教授の岩田誠先生は神経内科の大家でありながら音楽などにも造詣が深いですが、
先生は
ピアノ協奏曲変ロ長調K.595は
片頭痛発作の予兆から前兆そして頭痛期そして頭痛が去った後の順番で構成されていると言われております。
このようなことからモーツアルトは片頭痛もちだったのだろうと推測されています。
【参考文献】『モーツアルト書簡全集6』(海老沢 敏訳 白水社刊)
頭痛に効果ある音楽もモーツアルト?
バイエル薬品というバファリン(鎮痛剤)を作っている会社。
男女9802名に行った頭痛に関する調査によると、頭痛の対処法で頭痛薬に頼っていたのは2人に1人。
あとの3割近くが「寝る」
10%が「我慢する」
6%が「音楽を聴く」
と回答。
そして頭痛に効く曲も調べてみました。
それによるとモーツアルトの曲は第五位でした。
アイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調K.525 第2楽章
モーツァルトの楽曲の中でもとくに有名な曲の一つ。
1787年8月10日にウィーンで作曲されました。
モーツアルトの曲は、3500Hz以上の音が含まれている為、脳によい影響があるのだという報告もあります。
高周波が脳をリラックスさせて心身ともによい影響をもたらすとのこと。
頭痛がおこりそうなときが音楽を聴くタイミング
頭痛がひどくなってからは効果ないことが多いと思います。
頭痛がおこりそうなときに、このようにアイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調K.525 第2楽章を聴いてみたり、
自分の好きな高周波数の音楽を聴いてみるのがよいかもしれません。