営業スタイルに変化
日頃の会話やビジネスでのコミュニケーションにおいて、私たちはどのような意識で「言葉」を選んでいるでしょうか。
同じ内容であっても、発する言葉一つで相手を元気づけることもできれば、思わぬ誤解を生んでしまうこともあります。
今回は、人間関係や組織の信頼を深めるための「言葉の取り扱い方」と「想像力」の大切さについてお話しします。
言葉には「熱」と「温度」が宿る
先日のラジオ番組でもお話しさせていただいたのですが、私は日頃から「言葉には熱が乗る」と感じています。
同じ言葉であっても、どのような想いや姿勢で口にするかによって、相手に届く温度や響きは大きく変わります。
言葉は単なる情報の伝達ツールではなく、発する人の感情や人柄、誠実さといった「エネルギー」を乗せて相手に伝わるものです。
だからこそ、言葉には強い力があります。
たった一言の温かい言葉が、不安を抱えている人の背中を押し、勇気を与えることもあれば、逆に配慮のない一言が誰かを傷つけ、長年築いてきた信頼関係を一瞬で損ねてしまうこともあります。言葉は、人を活かすことも殺すこともできる刃のような側面を持っているのです。
「言ってもいいこと」と「言ってはいけないこと」の間にあるもの
日常やビジネスの現場で言葉を選ぶ際、多くの人は「言ってもいいこと」か「言ってはいけないこと(悪口や暴言など)」かという極端な二分法で考えがちです。
しかし、本当に注意しなければならないのは、その中間にある「言うことで自分自身の評価や信頼を下げてしまう言葉」の存在です。
例えば、
「嘘ではないから言っても構わないだろう」
「これくらいなら冗談で済むはずだ」
「正しい意見なのだからストレートに言っても問題ない」
このように本人は思って発した言葉であっても、受け取る側の立場やタイミング、周囲の空気感に対する配慮が欠けていれば、単なる配慮不足や自己満足と捉えられてしまいます。その結果、「正しいことを言っているのに、なぜか周囲からの信頼を失ってしまう」という事態が起こるのです。
言葉の取り扱いには「想像力」が必須である
では、自分の発する言葉を「人を勇気づけ、信頼を生むエネルギー transform(変化)」させるためには、何が必要なのでしょうか。
その答えは、『想像力』です。
言葉を取り扱う際には、以下のような想像力を働かせることが欠かせません。
相手の立場に対する想像力
「いま、この言葉を投げかけられた相手はどんな気持ちになるだろうか?」
場や関係性に対する想像力
「この発言は、周囲やチーム全体の雰囲気にどのような影響を与えるだろうか?」
自分自身に対する想像力
「この言葉を発することで、自分は誠実な人間として相手の目に映るだろうか?」
相手の心情や状況、そしてその言葉がもたらす未来の影響に思いを巡らせる「想像力」があって初めて、言葉は真の温もりを持ち、相手の心へと届きます。
温かい言葉が交わされる現場・地域を目指して
ものづくりの現場であれ、社内コミュニケーションであれ、あるいは地域での活動であれ、すべての関係性の基本にあるのは「人と人との対話」です。
言葉にしっかりとした温かい熱を込め、一人ひとりが想像力を持ってコミュニケーションを重ねていくこと。
それが、お互いをリスペクトし合える心地よい職場環境をつくり、確固たる信頼関係を築く一番の近道だと考えています。
皆さんも今日から少しだけ立ち止まり、「いま発しようとしている言葉に想像力があるか」を意識してみませんか。
ほんの少しの配慮が、周りの環境やあなた自身の評価を大きく変えていくはずです。
■ 執筆者プロフィール
株式会社MATSUMURA 代表取締役社長 古川 仁章(ふるかわ とよふみ)
群馬県太田市にて精密パイプ加工・溶接を手がける製造業の4代目経営者。
健康経営アドバイザー。地域に根ざした企業活動を通じ、ものづくりと人の温もりが調和する組織づくり・情報発信に取り組んでいる。


