元・機械メーカーの血が騒ぐ。「自社製マシン」で挑む端末加工の極限
ビジネスにおいて「自社の強み」を語るとき、私たちは設備や技術、あるいは一貫体制といった目に見える要素を挙げがちです。
私たち株式会社MATSUMURAも、パイプ加工の「ワンストップソリューション」を掲げ、試作・少量から量産まで対応できる体制を強みとしています。
しかし、こうしたハード面の強みを本当に活かすために不可欠なのは、それを取り扱う私たちの「心構え」や「姿勢」というソフト面ではないでしょうか。
今回は、試作一本にかけるお客様の想いと、私たちが受け継いできた「ものづくりの哲学」についてお話しします。
たった一本の図面に込められた、お客様の「困った」
私たちの元には、日々さまざまな試作のご相談が寄せられます。
「たった一本だけれど、作ってもらえるだろうか」「他社で断られてしまって、どこに頼めばいいか分からない」。
そうやって、藁をも掴む思いで私たちを頼ってきてくださるお客様が少なくありません。
一本の試作。
それは単なる試作品ではなく、お客様が抱えるリアルな「困りごと」そのものです。
その切実な想いに、私たちは何としても応えたい。
その根底には、かつて私と深く親交のあった創業者が遺してくれた、今も色褪せない大切な教えがあります。
『「出来ない」と言ってしまえば、二度と問い合わせは来ない』 『全てをその通りに出来ないとしても、「ここまでは出来る」「こうしたらいかがでしょう」と提案しよう。お客様が困っているという事実を、絶対に忘れてはならない』
この言葉は、単なる営業のテクニックではなく、ものづくりに携わる者が持つべきプロフェッショナリズムの本質を突いています。
「できるか、できないか」の境界線でどう動くか
人、技術、設備が揃っていれば、送られてきた図面を見て「できる・できない」を瞬時に判断することは難しくありません。
しかし、世の中には「技術的にできるかどうかが非常に微妙なライン」の案件も数多く存在します。
もし皆さんがその担当者だとしたら、どのような行動をとるでしょうか。
・選択肢 A: 手数がかかることやリスクを嫌い、「できない理由」をロジカルにまとめて、そのまま依頼主にお断りの連絡を入れる。
・選択肢 B: 「ここまでは現行の設備で対応可能です。ただ、この部分の形状をこのように変更することはできませんでしょうか?」と、建設的な代替案を添えて回答する。
事務的に断る前者は、社内的なリソースを守る意味では「楽な選択」かもしれません。しかし、それではお客様の課題は一歩も解決に向かいません。
私たちは、常に後者でありたいと考えています。
言葉のキャッチボールが、新しい可能性を拓く
以前、私のブログでも「お客様が本当に欲しいのは『ドリル』ではなく『穴』である」というマーケティングの有名な寓話をご紹介しました。
お客様が提示された図面は、あくまでも「課題を解決するための手段(ドリル)」として描かれたものです。
「お客様が本当に欲しいのは『ドリル』ではなく『穴』である」
図面通りに作ることだけが正解ではありません。
一見、現在の設備や技術では対応が難しそうに見えるご要望であっても、お客様と丁寧な「言葉のキャッチボール」を重ねていくことで、本当に求めている本質的な目的(穴)が浮き彫りになってきます。
「それなら、この加工方法に変えれば同じ目的が達成できますよ」 「この素材を使えば、強度を保ったままこの形状が実現できます」
対話を諦めずに深めることで、最初は「できない」と思われた案件にも、必ず新しい解決への道が拓けるのです。
「困ったときのMATSUMURA」であり続けるために
「困ったことがあれば、まずはMATSUMURAに相談してみよう」
地域社会やお客様からそう信頼していただける企業であり続けること。
それこそが、私たちが目指すワンストップソリューションの真の姿です。
株式会社MATSUMURAは、効率性や利便性だけを追うのではなく、お客様の「困った」に徹底的に寄り添い、共に汗をかいて知恵を絞るパートナーであり続けます。
パイプ加工をはじめ、ものづくりの現場でお困りのことがあれば、それがたった一本の試作であっても、ぜひ私たちにお聞かせください。
皆さまと心地よい「言葉のキャッチボール」ができることを、心より楽しみにしております。
ありがたいご縁に感謝いたします。


