高齢者の認知機能の低下を防ぐ栄養成分や健康成分は?
最近、クルクミンの前立腺がんや乳がんに対する抗がん効果について質問されることが増えてきました。
結論から云うと、クルクミンが男性のがん罹患率トップの前立腺がんや女性のがん罹患率トップの乳がんの予防や再発防止に役立つ可能性はあります。
下の写真のように、カレー粉の黄色い粉末でよく知られているターメリック(秋ウコン)の主な生理活性成分であるクルクミンはせいぜい5%程度しか含まれておらず、様々な健康効果はまったく期待できません。
なぜならば、クルクミンは体内に非常に吸収されにくく、通常のウコン粉末を食べるだけでは、抗がん作用を発揮するのに十分な血中濃度に達しないことが最大のネックとなっているからです。
ただし、腸での吸収率を高めてやれば、前立腺がんや乳がんの予防や標準治療(抗がん剤)の補助食品として役立つ可能性があります。
多くの基礎研究や一部の臨床試験での効果として、次のような報告があります。
※前立腺がん
○前立腺特異抗原(PSA)値の抑制⇒臨床試験において、クルクミンの摂取がPSA値を低下させたという報告
○進行の抑制⇒男性ホルモン(アンドロゲン)受容体の働きを抑え、がん細胞の増殖や転移および血管新生(がん細胞に栄養を運ぶ血管が作られること)を阻害するという報告
○併用効果⇒黒コショウの主な生理活性成分であるピペリンとの併用により、がんの進行を相乗的に抑えるという報告
※乳がん
○治療の補助⇒進行・転移性乳がんにおいて、ドセタキセルなどの抗がん剤と併用することで奏効率が向上したという報告や、放射線治療による皮膚炎などの副作用を軽減したという報告
○増殖抑制⇒乳がん細胞の増殖に関わるシグナル伝達経路(PI3K/AKT/mTOR)を阻害し、がん細胞の自滅(アポトーシス)を誘導するという報告
ただし、多くの研究は試験管内実験(in vitro)や動物実験(in vivo)の段階であり、確実な予防法や治療法として確立するには、さらなる大規模な臨床試験が必要です。
なお、インドのセントジョンズ医科大学の臨床試験(Planta Med, 1998, 64(4), 353-356)によれば、クルクミンにクルクミンの100分の1の量のピペリンを加えた併用摂取は、クルクミンの単独摂取に比べ、バイオアベイラビリティ(生体内利用率)が20倍に高まることを報告しています。
また、インドのシヴァム・マルチスペシャリティ&アクシデント・ケアセンターの臨床試験(Cureus, 2025, 17(11), 8pages)によれば、クルクミノイド(このうちクルクミンが約80%)の10分の1の量のピペリンを加えた併用摂取は、クルクミンにクルクミンの100分の1の量のピペリンを加えた場合よりも、バイオアベイラビリティが約59倍も高まることを報告しています。
このように、クルクミンとピペリンが9:1の割合、つまり一日あたりクルクミン0.9gにピペリン0.1gの併用摂取は、ピペリンが腸管吸収を妨げる酵素の働きを抑えるため、クルクミンの吸収率が格段に高まり、バイオアベイラビリティが改善されて、前立腺がんや乳がんの予防や抗がん剤治療の補助として役立ちます。
なお、食品医学研究所のエビデンスショップで販売している『高吸収型ウコンCURC95+』は適量のピペリンを加えて、バイオアベイラビリティを高めた食品ですが、緑茶・玉ネギ・リンゴ・赤ワインなどに豊富に含まれる「ケルセチン」もクルクミンのバイオアベイラビリティを高める食材です。
ただし、クルクミンには抗凝固作用があるため血液をサラサラにする薬(ワーファリン)との併用、血糖値を下げる作用があるため糖尿病薬との併用は避けるようにしてください。



