最新情報!新型コロナ感染症が予防できるスパイス=ブラッククミンシード(ニゲラサティバ)とは?
ブラッククミンシード(学名:ニゲラ・サティバ; Nigella sativa)という薬効性の高いスパイスをご存じでしょうか?
日本ではあまり知られていませんが、ブラッククミンシード(和名:ニオイクロタネソウ)は地中海原産のスーパーフードで、昔からイスラムの伝承では「死以外のすべての病を癒す」とまで言われ、最近、その健康効果が注目されつつあります。
この主な生理活性成分であるチモキノン(TQ; Thymoquinone)には、これまで数多くのin vitro(試験管内)実験やin vivo(動物)実験において、がん細胞の成長を抑制してアポトーシス(自然死)を誘導することが示されています。
特に、チモキノン(TQ)を化学療法や放射線療法と併用することで、その治療効果が高まり、しかも副作用を軽減する可能性があります。
アラブ首長国連邦のアルアイン大学の総説(Int J Mol Sci, 2025, 26(22), 23pages)によれば、チモキノン(TQ)の抗がんメカニズムは、図の①~④のように多岐にわたります。
①アポトーシスの誘導:複数の経路を介してがん細胞のアポトーシスを誘導する
②細胞周期の停止:細胞周期の進行を阻害し、がん細胞の増殖を抑制する
③抗転移および抗血管新生:がん細胞の転移や血管新生を抑制する
④酸化ストレスと炎症の調節:酸化ストレスを誘導してがん細胞の成長を抑制する
以上の4つの抗がんメカニズムに加えて
⑤オートファジー(自食)作用の調節:がん細胞おけるオートファジーを調節してアポトーシスを誘導する
⑥内因性ストレスへの関与:内因性ストレス応答を調節してがん細胞のアポトーシスを誘導する
⑦小胞体(ER)ストレス誘導剤との相乗効果:化学療法抵抗性を克服し、ERストレス誘導剤と組み合わせることで抗がん活性を強化する
⑧がん幹細胞(CSCs)への影響:がん幹細胞の抵抗性を標的にして大腸がんや乳がんの治療応答を改善する
⑨腫瘍微小環境(TME)への影響:腫瘍微小環境の様々な要素を調節して抗がん効果を示す
⑩エピジェネティック(DNAの配列を変えずに遺伝子の働きをオン・オフする仕組み)な再プログラミング:エピジェネティックな修飾を調節してがんの進行を抑える
⑪併用療法における効果:化学療法や放射線療法と併用することで治療効果を高めるとともに副作用を軽減する
という抗がんメカニズムも知られています。
チモキノン(TQ)は様々な化学療法(抗がん剤)と併用することで抗腫瘍効果を増強したり、放射線療法と併用することでがん細胞に対する感受性を高めたり、免疫療法との併用においても臨床的な有効性が示されています。
ただし、チモキノン(TQ)はバイオアベイラビリティ(生体内利用率)が低いのと、大規模な臨床試験が不足しており、明確な治療効果の評価がなされていないという問題点があります。
しかしながら、現在、健常な人が将来のがん予防対策としてチモキノン(TQ)をサプリとして常用したり、がん患者さんが抗がん効果を高めるために化学療法や放射線療法の補助食と併用したりすることで、少なからず、より良好な結果が期待できると考えられます。
食品医学研究所長の私見として強調したいのが、がん細胞は毎日5,000個前後発生し、主に免疫細胞がこれらを退治しているのですが、免疫機能が低下している人でも、ここにチモキノン(TQ)を付与してやれば、がん細胞の発生や増殖がより強力に抑えられ、がんの予防効果が高まる可能性があるということです。
がんは検診による早期発見も大切ですが、将来、自分がどのような部位がんにかかるのかは不明ですので、女性では30~40代から、男性では40~50代から、「転ばぬ先の杖」として、チモキノンの常用をおすすめします。



