電子帳簿等保存制度
トラクター作業終了後に我が農業法人へ田んぼをお貸し下さっている地主さんを訪れた。農地の賃貸借契約の更新で、必要な書類の書き方がよくわからないと言うことでお邪魔した。現在の地主さんは、登記簿謄本の名義人である亡きお父さんの二女。お父さんは19年前に他界されており、お母さんもそしてお父さんの長女さんも既にこの世にいない。加えて様々な事情により今まで相続登記を行わずにと言うか行えないで来たという。
今までは被相続人が他界されても直ちに相続登記が行われることは、農村社会では少なかった様に思う。農業法人では今回30名近くの地主さんと賃貸借契約の更新をお願いしたが、数名の方が相続登記未登記であった。割合とすれば一割を大きく超える。この他に来年以降に契約更新を行う地主さんもあと20名近くに上るが、相続登記済ませておられないのでは、と思われる方が数名おらえるので、やはり全体でも一割以上に上がるのではと思われる。2024年4月1日より、相続や遺贈で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記(名義変更)を申請することが法律で義務化されている。これは過去の相続(2024年3月31日以前)も対象となり、猶予期間は2027年(令和9年)3月31日までだ。しかしながら、まだまだ名義変更が行われていない農地が存在するのが実態だ。
ところで、2025年4月1日からは今回の賃貸借契約など、原則今までのような法人との直接契約ではなく、農地の所有者が農地中間管理機構に申請をする、それを管理機構が法人へ貸し付けるという形になった。これは農業経営基盤強化促進法などの改正に伴い、当該法律に基づく農地の貸し借り(通称:利用権設定)が廃止になったためだ。農地中間管理機構への申請では、農地の所有者は登記簿謄本で登記されている名義人だ。相続登記がなされていない場合は、法定相続人の合議により代表名で申請する。登記簿の名義人が複数の場合は各々名で申請する。これは当たり前と言えばそうなのだが、まだまだ法律の改正など知れ渡ってはいない。
僕は農業法人設立から40年、渉外担当として地主さんとの契約等を一手に引き受けてきた。家庭のご事情に立ち入らなければならないことも多くあった。何とも因果な商売、と思う事も多かった。しかし、口約束で農地を借りることは出来ないので、しっかりと契約を結び、農業委員会に届け出ていた。農地の賃貸借契約は10年程度でお願いしていたから、途中で名義の変更も多かったのだろう。今回それらがある意味あぶり出されてしまったのかもしれない。


