◆新年度◆社員が入社する時に必要な労働条件の明示と労働契約の締結
◇毎年10月は最低賃金の改定月
10月1日から、都道府県毎に順次最低賃金が改定されています。
福岡県は10月6日より941円となりました。
時給の方はそのまま時間給を改定すればいいのでわかりやすいですが
月給制の方については、手つかずになっていることもあるのではないでしょうか。
昇給がなく、月給がずっと変わっていないような場合だと
年月の経過とともに最低賃金を下回っている可能性もあります。
月給制の方についても、毎年最低賃金をクリアしているかの確認が必要です。
最低賃金は時間給で示されますので
月給の場合だと時間給に戻して確認する必要があります。
◇時間給を計算するために月間所定労働時間を算出
月額賃金を月の所定労働時間で割ることで、その方の時給単価が出てきます。
その金額が最低賃金以上となるように、月額賃金を設定しなければいけません。
月の所定労働時間は、会社によりどのように算出するかが定められているので
就業規則など会社の規定があるところは確認いただくのが一番早いです。
ここで、月所定労働時間の算出方法として
一般的に使われているものを記載しておきます。
・年間平均の月所定労働時間
年間所定労働日数×1日の所定労働時間÷12ヶ月=1カ月平均の所定労働時間
該当月の所定労働時間から時給単価を計算することもできますが、
そうすると毎月時間単価が変動してしまいます。
年間平均時間数を毎年算出することで、1年間固定となりますので
残業単価の計算においても楽になりオススメです。
では、具体的に例を挙げて計算してみたいと思います。
➀年間休日が124日の場合の年間所定労働日数
365日-124日=241日
1日の所定労働時間が8時間の場合の月所定労働時間
241日×8時間÷12ヶ月=160.66時間
毎年変動はありますが、完全週休二日制で土日祝日休み、年末年始4日休みだと
凡そこのくらいの時間数になります。
②年間休日が100日の場合の月所定労働時間
265日×8時間÷12ヶ月=176.66時間
シフト勤務などで月間休日が8~9日だとこのくらいでしょうか。
◇時間給を算出して最低賃金を確認
このようにして算出した月の所定労働時間を使って、月給者の時給単価を計算します。
➀で月給150,000円の場合
150,000円÷160.66時間=933.64円
②で月給165,000円の場合
165,000円÷176.66時間=933.99円
どちらも福岡県の最低賃金を下回ってしまいます。
➀で月給152,000円の場合
152,000円÷160.66時間=946.09円
②で月給167,000円の場合
167,000円÷176.66時間=945.31円
どちらも福岡県の最低賃金以上となりセーフです。
すでに福岡県の最低賃金は改定されています。
月給者の点検をして、万が一最低賃金を下回っているような場合には
早急に賃金月額の改定を行う必要があります。
従業員の給与を適切に支払うことは、労使の信頼関係構築には不可欠です。
人材確保はこれからますます難しくなっていきます。
企業の利益ばかりを追求して、従業員のことを後回しにする時代はすでに終わっています。
これからは従業員満足度の高い職場を目指して
労使が一丸となって生産性を上げていく組織にしていきたいですね。
社会保険労務士
西田 圭子