従業員の介護離職を防ぐために~介護休業の活用
雇用調整助成金が雇用保険料に影響
新型コロナウイルスの影響により、
雇用調整助成金の支給額が2022年4月末で5兆6千万円を超えています。
特例措置も現時点で6月まで延長が確定しており、
支給額はまだまだ増えていくことでしょう。
この影響により、2022年4月から雇用保険料率が引き上げられました。
いずれはそうなると予測はされていましたが、とうとう来たかという印象です。
事業主も労働者も保険料の負担が増えるため、注目してもらいたいポイントとなります。
保険料率変更、事業主は4月~労働者は10月~
今年の4月から保険料率が変更となりましたが、
労働者の保険料はすぐに上がるわけではありません。
4月から9月は事業主負担分のみ料率引き上げとなります。
その後10月から労働者の保険料も値上げとなっていきます。
労働者に支払う賃金に対して、下記の保険料率で保険料を計算します。
2022年4月~2022年9月
●一般の事業 (事業主) 6/1,000 → 6.5/1,000
●農林水産・清酒製造の事業 (事業主) 7/1,000 → 7.5/1,000
●建設の事業 (事業主) 8/1,000 → 8.5/1,000
※各事業 0.5/1,000の引上げ
2022年10月~2023年3月
●一般の事業 (事業主) 8.5/1,000
(労働者) 3/1,000 → 5/1,000
●農林水産・清酒製造の事業 (事業主) 9.5/1,000
(労働者) 4/1,000 → 6/1,000
●建設の事業 (事業主) 10.5/1,000
(労働者) 4/1,000 → 6/1,000
※各事業、事業主・労働者共に2/1,000の引上げ
月給20万円の労働者の場合
600円の雇用保険料が1,000円になり、400円の値上げとなります。
事業主の負担はそれ以上になりますね。
また、給与計算などの実務を行っている担当者は、
10月から給与計算の際に保険料控除額が変更になる点注意しておいてください。
今年の労働保険年度更新での申請方法
雇用保険料の値上げについては知っているという方も多いと思われますが、
人事担当者がいま最も気になっているのは、今年の労働保険年度更新で
どのように申告書に記入したらよいのかということではないでしょうか。
雇用保険を含む労働保険料は、基本的に先払いの制度となっているため、
今年支払う保険料は、今年度の労働者に支払う賃金予想額を基に支払うことになります。
これを「概算保険料」といいます。
この概算保険料が今年の年度更新において注意するべき点となるのです。
※労働保険年度更新の詳しい説明は省略します。
昨年度の確定保険料における賃金総額を、
今年の概算保険料の基礎とすることは変わりありません。
その賃金見込総額の1/2の金額に4月~9月までの保険料率をかけ
もう半分の賃金総額に10月~翌年3月までの保険料率をかけて
今年の概算保険料額を計算することになります。
例えば
一般の事業で年間賃金額が12,000,000円の場合
(雇用保険料分)
6,000,000円×9.5/1,000=57,000
6,000,000円×13.5/1,000=81,000 合計138,000円
こちらの合計金額を概算保険料の雇用保険欄に記入することになります。
計算方法はいたってシンプルなものでした。
来年の年度更新の際も、今年の4月~9月、10月~翌年3月の2回に分けて
確定保険料を計算することになりますね。
その他、労働保険年度更新については厚生労働省のHPでも確認できます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/index.html?msclkid=2ee67601ceae11ec8d588c51347187d0
これから、労働保険の年度更新に社会保険の算定基礎届と
人事担当者にとっては忙しい時期に入っていきますが、
今のうちに準備しておくことで申請時に慌てなくてすみます。
3月までの給与計算が確定したら、
早めに昨年度の賃金台帳を整えておくことをお勧めします。