日本のスポーツの現場には、技術を教える監督やコーチ、体づくりを支えるトレーナーはいますが、心を専門に支える存在はまだ多くありません。私はこの状況を変えたいと考えています。
そのために、個人セッションだけでなく、講演会やセミナー、メンタルコーチを育てるスクールにも力を入れています。特に伝えたいのが、ジュニア選手の保護者の方々です。お子さんが試合で結果を出せずに落ち込んでいるとき、周囲の関わり方が結果を大きく左右します。理解を深めていただけるよう、著書『奇跡のスポーツメンタル術』を出版し、YouTubeでも情報を発信してきました。
実際にお伝えする内容は、決して特別なものばかりではありません。たとえば呼吸法です。緊張で手に汗をかき、心拍数が高まることは、トップ選手にも起こり得ます。そんなときこそゆっくり呼吸を整えることで副交感神経が働きやすくなり、落ち着いて競技に臨みやすくなります。こうした知識が、当たり前に共有される状態をつくりたいのです。
過去に印象に残っている選手がいます。三年間伸び悩んでいた大学生で、話を聞くうちに監督との関係に思い悩んでいることが分かりました。そこで、「それでも何か感謝できることはありませんか」と問い続けました。すると次第に表情が明るくなり、監督の練習メニューを前向きに受け止めて取り組むようになり、日本選手権で成果につながりました。私はきっかけをつくっただけで、本来持っていた能力と前向きな気持ちが結び付いた結果だと思っています。
プロゴルファーを目指す選手をお預かりしたこともあります。テストになると頭が真っ白になり、手が震えていた状態から、合格を狙えるレベルまで力を伸ばされました。心の扱い方は、後からでも身につけられるのです。
私が見ることのできなかった景色を、世界で活躍する選手に見てもらいたい。腹筋や背筋を鍛えるのと同じように、スポーツメンタルトレーニングが当たり前の選択肢となる社会を目指して、これからも一人一人の選手に寄り添っていきます。
保護者や指導者にも広げるメンタル講座
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有賀暢(スポーツメンタルコーチ)
競技経験に加え、コーチングやNLP(神経言語プログラミング)の知見を生かしたスポーツメンタルコーチ。対話を通じて選手自身の気付きを促し、大一番で実力を発揮できる心づくりを支えます。
有賀暢プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です
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