本番で力を発揮できる心を育てるスポーツメンタルのプロ
有賀暢
Mybestpro Interview
本番で力を発揮できる心を育てるスポーツメンタルのプロ
有賀暢
#chapter1
プロゴルファーや実業団選手をはじめ、数多くのアスリートを支えているスポーツメンタルコーチの有賀暢さん。対話を重ねながら選手自身の気付きを引き出し、本番で実力を発揮できる心づくりを支援しています。
「1コマ約60分、月2回ほどのペースで福岡以外の方とはオンラインで対話します。時には指導者や家族との人間関係における不満を聞いて終わることもありますが、それも有効だと考えています。プレッシャーの中で競技を続ける選手は、気持ちを吐き出す機会が少ないからです。『弱音を吐いて(メンタルは)強くなる』が心理学の原理原則となるため、私と話してネガティブな感情を言葉にして吐き出すことで、前向きな気持ちで次に向かえるようサポートしています」
相談で多いのは「緊張」と「ミスを引きずること」。ある高校の部活動を指導した際には、ほぼ全員が「練習ではできるのに試合で力を発揮できない」「ミスをすると気持ちを切り替えられない」と口にしていたといいます。
「よくお伝えするのは呼吸法です。緊張で手に汗をかき、心拍数が高まることはトップ選手にも起こり得ます。そんな時こそ、ゆっくり呼吸を整えることで副交感神経が働きやすくなり、落ち着いて競技に臨みやすくなるでしょう」
セッションで大切にしているのは、答えを与えたり指図をしたりしないこと。メンタルを整えるためのスキルや心理学に関する情報を提供しながら、基本的には質問を重ね、選手が自らの言葉で目標や夢を語れるよう導きます。
「選手が自分の言葉で語った目標を行動へ移せるようサポートします。過去の経験や強み、弱み、感情が動く瞬間を一緒に掘り下げると、『そういうことだったのか』と本人が気付く瞬間があります。その気付きがメンタルの変化につながるのです。悩んでいることの解決策は選手自身が持っていることが大前提ですので、それに気づいてもらうことがミッションだと考えております」
#chapter2
有賀さんは幼少期から足が速く、小学校のマラソン大会でも優勝。高校では5000mで上位入賞を果たすなど、競技者として実績を積み重ねました。
「大学へは強豪の京都産業大学に一般受験で進学しました。陸上部では最初から認められたわけではなく、辞めていく同期も何人もいました。それでも走ることが好きだったので努力を続け、全日本大学駅伝にも出場しました。卒業後は、ニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝競走大会)にも出場しています」
当時は競技に専念できる環境が整い、朝20km、本練習30km、夕方10kmを走る毎日。しかし周囲との実力差を感じ、約3年で現役生活に区切りをつけます。
「引退後はスポーツ用品店で店長などを経て、西日本を統括する責任者を務める中、多忙な日々が続いたことで体調を崩し、一時休職を経験しました。その期間に心理学を学び始め、心のバランスを整える方法を身に付けたことが、スポーツメンタルコーチになるきっかけです。仕事が心配で夜中に目が覚めても何もできません。『明日考えればいい』と不安を手放せるようになったことが転機でした」
コーチングやNLP(神経言語プログラミング)も学び、知識を深めながら、知人への無料サポートで経験を積み重ねました。担当した選手が数カ月で自己記録を更新し、国体(国民体育大会)に出場するまでになったことも後押しとなり、2016年にプロコーチとして活動を開始。現在は個人セッションやチームサポートに加え、専門学校で心理学の講師も務めています。
#chapter3
これまで数多くのアスリートを支えてきた中でも、有賀さんの印象に残っているのが、3年間伸び悩んでいた大学で競技に励む選手です。考え方が変わったことが、その後の飛躍につながったと振り返ります。
「話を聞く中で、監督との関係に思い悩んでいることが分かりました。そこで『それでも感謝できることはありませんか』と問い続けると、表情が明るくなり、監督の練習メニューを前向きに受け止めて取り組むようになって、日本選手権で成果につながりました。私はきっかけをつくっただけで、本来持っていた能力と前向きな気持ちが結び付いた結果だと思っています」
また、プロゴルファーを目指す選手も、テストになると頭が真っ白になり手が震えていた状態から、合格を狙えるレベルまで成長。その活動の原動力は、自身がかなえられなかった夢にあります。
「私が見ることのできなかった景色を、世界で活躍する選手に見てもらいたいですね。日本では技術指導をする監督やコーチ、体づくりを支えるトレーナーはいても、心を専門に支える存在はまだ多くありません。ジュニア選手の保護者にも理解を深めてもらえるよう、著書『奇跡のスポーツメンタル術』を出版し、YouTubeでも情報を発信しています。腹筋や背筋を鍛えるように、スポーツメンタルトレーニングが当たり前の選択肢となる社会を目指し、これからも一人一人の選手に寄り添っていきます」
(取材年月:2026年7月)
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本番で力を発揮できる心を育てるスポーツメンタルのプロ
有賀暢プロ
スポーツメンタルコーチ
競技経験に加え、コーチングやNLP(神経言語プログラミング)の知見を生かしたスポーツメンタルコーチ。対話を通じて選手自身の気付きを促し、大一番で実力を発揮できる心づくりを支えます。
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