99%の親も教師も知らない ――生物学・進化史・脳科学から読み解く子どもの不調の正体

山崎憲治

山崎憲治

テーマ:子育て

新年あけましておめでとうございます。
本年も、子どもたちの発達と向き合いながら、脳科学・生物学の視点から「本当に必要な育ち」についてお伝えしてまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。



99%の親も教師も知らない ――生物学・進化史・脳科学から読み解く子どもの不調の正体


近年、
• 不登校
• 行き渋り
• 落ち着きのなさ
• 理由のわからない不安や問題行動

といった子どもの不調が、急増しています。

多くの場合、
「性格」「発達特性」「家庭環境」
といった言葉で説明されがちですが、
それだけでは説明がつかない現象が、現場で起き続けています。

本コラムでは、
生物学・人類進化・脳科学の視点から、
子どもたちの不調の“根本原因”を整理します。



生き物は「遊び」によって生き抜く力を完成させる


ライオンやオオカミなどの肉食獣の子どもは、
じゃれ合いを通して獲物を捕る練習をします。

これは遊びではなく、
生存に必要な神経回路を完成させるための本能的行動です。

生物学の分野では、

生き物は成長過程において、
遊びを通して生存行動を学習する

ことが広く知られています。



人間にとっての「生き抜く力」とは何か


人間は、
鋭い牙や爪、俊足を持ちません。

それにもかかわらず生き延びてきた理由は、
遠くの対象を正確に投げる能力
を進化させたからです。

石を投げ、槍を投げ、
集団で獲物を仕留める。

この行動に適応するため、
人間の身体と脳は独自の進化を遂げました。
• 肩関節の広い可動域
• 体幹の回旋構造
• 指先の精密操作
• 距離・速度・角度を予測する脳機能

これらはすべて
「投げる」ための進化的獲得形質です。



投げる動作で同時に起動する脳の部位


投げるという行為は、
単なる運動ではありません。

脳内では、次の部位が同時に働きます。
• 小脳:動作の調整・バランス
• 感覚統合系:距離感・空間認知・力加減
• 前頭前野:判断・抑制・集中
• 扁桃体:緊張や恐怖のコントロール



つまり投げる動作は、
生存に必要な脳ネットワークを総動員する行為なのです。



現代の子どもに起きている「生物学的未完了」

現代社会では、
• 外遊びの減少
• ボール遊びの制限
• 安全配慮の過剰化
• 座学中心の早期教育

が進み、
投げる経験をほとんど持たないまま成長する子どもが増えました。

その結果、
本来使われるはずだった
生存用の神経回路が未完成のまま残る
という事態が起きています。

この“未完了”が、
• 落ち着きのなさ
• 不安感
• 攻撃性
• 無気力
• 学校不適応

として表出します。

これは心理の問題ではなく、
生物学的・神経発達的な問題です。



なぜ言葉や指導だけでは改善しないのか

この段階の不調は、
• 説明
• 叱責
• 理解の要求

では改善しません。

なぜなら、
言語を司る前頭前野よりも前の段階の脳が、未起動だからです。

必要なのは、
正しい順番での体験による再起動です。





雪合戦ゲームが持つ本質的な意味

雪合戦ゲームは、
• 狙う
• 投げる
• 避ける
• 仲間と連携する

という
人類の狩猟行動を疑似的に再現しています。

しかも、
• 安全性が高い
• ルールが明確
• 失敗してもやり直せる

ため、
現代社会に適合した形で
生き抜く力を再獲得できる構造になっています。




まとめ:子どもの不調は「失敗」ではない


子どもたち自身も理由もわからず苦しんでいるのは、
能力が低いからでも、
意欲が足りないからでもありません。

生き抜く力を獲得する機会が、
環境によって失われていただけ

なのです。

「投げる力」
は、
人類の歴史と脳の設計図に刻まれた
最も原始的で、最も確実な発達スイッチです。

これを理解することが、
不登校・問題行動・行き渋りを
根本から見直す第一歩になります。

参考資料・図書・一覧

• 『脳を鍛えるには運動しかない!』/ジョン・J・レイティ
• 『スマホ脳』/アンデシュ・ハンセン
• 『実行機能 ― 前頭前野が切り拓く人間の知性』/アデル・ダイアモンド
• 『発達する心 ― 子どもの脳と心の発達』/ダニエル・J・シーゲル
• 『ノー・ドラマ・ディシプリン』/ダニエル・J・シーゲル、ティナ・ペイン・ブライソン
• 『脳が変わる生き方 ― 神経可塑性の力』/ノーマン・ドイジ
• 『なぜシマウマは胃潰瘍にならないのか』/ロバート・M・サポルスキー
• 『学習性無力感』/マーティン・E・P・セリグマン
• 『犬として育てられた少年』/ブルース・D・ペリー
• 『神経発達順序に基づく治療モデル(NMT)』/ブルース・D・ペリー
• 『子どもの脳はどのように発達するのか』/スタンレー・I・グリーンスパン
• 『感情コントロールの発達心理学』/大河原美以
• 『発達障害もどき』/成田奈緒子
• 『ポリヴェーガル理論入門』/スティーブン・W・ポージェス
• 『The Hunter-Gatherer’s Guide to the 21st Century(邦訳)』/ヘザー・ハイング、ブレット・ワインスタイン
• 『人類進化と投擲能力に関する研究(進化人類学論文)』/各種進化生物学研究

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山崎憲治
専門家

山崎憲治(教育アドバイザー)

firstball

独自開発の運動プログラムや学習プログラムで運動能力を伸し、やる気や集中力、脳の認知機能(理解・判断・記憶・思考等)を高めて学習することで学力も向上する文武両道実現。心身共に子どもの健やかな成長を育む。

山崎憲治プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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