“暑さに負けない脳”を育てよう──事件を防ぐ、子どもの「強い前頭前野」のつくりかた

山崎憲治

山崎憲治

テーマ:子育て

“暑さに負けない脳”を育てよう──事件を防ぐ、子どもの「強い前頭前野」のつくりかた


はじめに:暑さと衝動事件の関係


毎年、初夏から真夏にかけて、突発的で残酷な事件がニュースを賑わせます。
「なぜ人を傷つけてしまうのか?」その根底には、**暑さが脳に与えるストレスと、未発達の脳機能=“社会脳”**の問題が潜んでいます。

子どもたちを加害者にも被害者にもさせないために、今、“暑さに負けない強い脳”づくりが求められています。



第1章:加害者に共通する「機能していない脳部位」とは?


衝動的加害者に共通する脳機能障害には、以下がよく見られます。




特に重要なのが「前頭前野」の未発達・低活動

加害行動の多くは、抑制のブレーキ役である前頭前野の不全が関わっています。



第2章:暑さが脳に与える“見えない攻撃”

• 高温・多湿の環境では、前頭前野の血流が低下し、脳全体の制御能力が下がる
• 暑さによる脱水や睡眠不足も前頭葉機能を鈍らせ、怒りや不安が強くなる
• 結果として、「ちょっとしたこと」でキレる、「思考停止で暴発する」状態に陥りやすい



第3章:「暑さに負ける脳」をつくらないための対策

暑さによる脳疲労を防ぐ環境整備
対策 内容
室温管理 室温26℃以下・湿度60%以下を推奨(学校や家庭)
水分補給 脱水による集中力低下と感情不安定の予防
睡眠確保 睡眠不足は前頭前野を著しく低下させる
時間帯配慮 日中の過活動を避け、屋外活動は朝夕に

第4章:暑さに負けない「強い脳機能」の育て方


発達支援のカギは「体験」と「運動」


方法 目的と効果
五感・全身運動 前頭前野・島皮質の活性化
(例:投げる・跳ぶ・押す・引く)

ごっこ遊び 他者視点の理解・感情のやりとり(社会脳の基盤)

ルール遊び 自己抑制力・順番を待つ・失敗の受容力

「投げる運動」 前頭前野と身体制御、空間認知の連動を促す
(例:スーパーハードドッジ)

自然体験 気候の変化・危機管理・ストレス耐性の向上
Sパワーキッズプログラムのように、脳科学に基づいた運動を体系的に取り入れることで、社会脳が効果的に育ちます。




第5章:前頭前野を“機能させる”ための家庭と教育の工夫


シーン 具体施策
家庭での会話 「今日どんなことが嬉しかった?」など感情言語化を促す

怒りのマネジメント 「今は暑くてイライラしてるだけかも」と自己認知をサポート
デジタルデトックス 脳の偏りを防ぎ、現実との関係性を取り戻す
日記・絵日記 自己内省力と前頭前野の活性化

第6章:加害者も被害者も生まない社会へ──今、私たちができること


暑さや発達の問題で理性を失う子どもを、「異常者」と切り捨ててはいけません。
彼らは「育つべきときに育ててもらえなかった脳」を抱えた存在です。

私たち大人が果たすべき役割は、
「社会脳を後天的に育てられるチャンスを、すべての子どもに保障すること」です。



まとめ:脳は育てられる。環境と関わりが、事件を防ぐ。

• 暑さは脳の理性を奪う
• 発達の空白化が社会脳を未熟にし、暴発リスクを高める
• 社会脳=共感・抑制・判断力を支える「前頭前野」を育てることが、最大の事件予防策

育てるべきは、力ではなく“関係性”の中で育つ理性の力です。
今こそ“暴力に負けない脳”を育てる社会全体の視点が求められています。





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参考資料


脳科学・神経心理学関連
1. 前野隆司『脳はなにげに不公平』講談社現代新書, 2014年
 → 社会脳や共感・感情のコントロールに関する脳の働きが、平易に解説されている。
2. 中野信子『キレる!』小学館, 2016年
 → 怒りと脳(前頭前野・扁桃体)の関係を中心に、衝動的暴力とその背景を扱う。
3. 茂木健一郎『脳を活かす勉強法』PHP新書, 2007年
 → 前頭前野と学習・抑制力の関係についての実践的解説がある。



発達心理・行動科学・教育学関連
4. 杉山登志郎『発達障害の子どもたち』講談社現代新書, 2008年
 → 「発達の空白化」や「発達性トラウマ」による共感性の欠如・行動問題のメカニズムを解説。
5. 井出草平『逆行性発達障害』イースト・プレス, 2020年
 → 逆行現象を社会・発達心理・教育制度の観点から分析した問題提起型書籍。
6. 汐見稔幸『子どもを育てる脳科学』小学館, 2018年
 → 社会性や情動の育成に関する脳科学的アプローチがわかりやすく書かれている。



学術論文・レポート
7. 「気温と暴力犯罪率の相関」(Ranson, 2014, Journal of Environmental Economics)
 → 気温が1℃上がるごとに犯罪率が上昇する傾向を示した国際的研究。
8. 『社会脳の発達と教育的支援』日本教育実践学会誌, 第57号(2021年)
 → 子どもにおける社会脳の発達とその教育的支援のあり方に関する最新研究。
 → J-STAGEで閲覧可
9. 『学校における衝動性と抑制力に関する研究』(東京学芸大学, 2019年)
 → 暑さ・環境ストレスと抑制力低下の関連性について述べた報告。
 → 大学機関リポジトリPDF



気候ストレス・社会環境との関連
10. マシュー・ホワイト『ブルー・マインド ―「青」が人を幸せにする』NHK出版, 2020年
 → 暑さや環境ストレスが脳に与える影響と、自然・涼感刺激の効果について科学的に説明。
11. ユヴァル・ノア・ハラリ『21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考』河出書房新社, 2019年
 → 現代社会のストレス・孤立・暴力傾向と教育・共感の必要性についての視点。

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• #逆行現象
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山崎憲治(教育アドバイザー)

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独自開発の運動プログラムや学習プログラムで運動能力を伸し、やる気や集中力、脳の認知機能(理解・判断・記憶・思考等)を高めて学習することで学力も向上する文武両道実現。心身共に子どもの健やかな成長を育む。

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