緊急提言!子どもたちは、静かにSOSを発している

山崎憲治

山崎憲治

テーマ:子育て

本日掲載予定の第9回 投げることが未来を変える!──空白の子どもにスイッチが入った瞬間 はまたの機会に。

子どもたちを「投げられなかった未来」から救え


──生命活動獲得能力序列一位の喪失と、社会の逆行現象



■ 子どもたちは、静かにSOSを発している





2025年、文部科学省の統計によれば、子どもの自殺件数は過去40年で約1.5倍に増加。
不登校は29万人を超え、10代の死因第1位は「自殺」。
加えて、ユニセフの調査では、日本の子どもたちの精神的幸福度は38カ国中32位。

これらの数字は、今の日本社会が“見えない何か”を失っていることを静かに、しかし確実に語っている。



■ 発達の空白化──本来あるべき「育ち」が奪われている


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スイッチON!
投げ合うことで生きる力を!

脳科学の視点では、人間の健全な発達には「動き・感情・社会性」の三位一体の体験が不可欠です。
特に幼少期〜学童期において、空間認知・力加減・自己制御・感情の整理といった能力は、「実際に体を使って関わる」ことで育まれる。

しかし今、多くの子どもたちがこうした経験を積むことなく成長しています。
その結果、「育っていない心と脳のまま、年齢だけが進行する」発達の空白化
が各地で起きています。



■ 歴史的に最も重要だった「投げる力」

この空白化の象徴とも言えるのが、「投げる力」の喪失です。

人類は、石を投げることで獲物を狩り、敵から身を守り、生き延びてきました。
この投擲行動の獲得こそが、人間が人間になった最終進化であり、
多くの研究で「生命活動獲得能力の序列第一位」に位置づけられています。

投げるためには、
• 目と手の協応(空間認知)
• 力の調整(感覚統合)
• 他者との関係の中での加減(社会性・共感)
• 「当たる・当てられる・受け止められる」ことの経験(感情統合)

が求められ、これらはそのまま、現代における“社会で生きる力”と一致しています。



■ 社会的背景:「投げる=危険」という認識のすり替え


しかし、現代社会では、「投げる」は危険で迷惑な行為とされ、公園からはボールが消え、学校からは投力測定がなくなりました。
• 当たったらどうするの?
• トラブルになったら責任は?
• ケガをしたら管理者のせい?

こうした**過剰なリスク回避と“迷惑回避社会”**が、最も根源的な発達体験を奪っていったのです。



■ 結果としての逆行現象と社会的逸脱

「投げる」「ぶつかる」「受け止められる」経験を奪われた子どもたちは、
• 感情をコントロールできずに爆発しやすく
• 自己否定感が強く、挑戦できず
• 他者との関係が怖く、また強く求めるがゆえに依存・攻撃に走る

その結果として、現れるのが:
• 不登校、ひきこもり、いじめ、自殺
• ストーカー行為、誹謗中傷、衝動的犯罪
• SNS依存、モンスターペアレント、DV、少子化

すなわち、**スイッチが入らないまま大人になった“逆行現象”**の連鎖です。



■ 行動心理学が示す「回復の鍵」


行動心理学は語ります。

「人は、自分の行動が他者に受け入れられ、何かを変えたと実感したときに、自信と希望を持てる」

つまり、失敗しても、当たっても、受け止められる経験。
その上で再挑戦できる環境こそが、子どもたちの“再スイッチ”を可能にするのです。



■ 社会への提言:子どもの行動の裏に「空白の発達」を見よ


私たちは、子どもたちの異常行動を問題として見るのではなく、
その裏にある“育たなかった発達課題”に目を向けるべきです。
• 叱る前に「この子にはどんな体験が足りなかったのか?」を問う
• 管理する前に「どこでスイッチが入らなかったのか?」を探す
• 教える前に「どこで育つ機会を失ったのか?」を思い出す



■ すべての子どもに空白を埋め発達のスイッチON!「育つ力」を


子どもは、育ちきらずに大人になると、社会に適応できず、自分にも他者にも傷を負わせる可能性がある。
だからこそ、今こそ私たちは思い出すべきです。

人類が生き延びるために最後に獲得した力──それが“投げる”という行動だったことを。

そして今度は、1人でも子どもが自ら命を絶たない社会のために、
「投げられなかった空白」をどう埋めていくのかを、全世代で考えるときなのです。


参考資料


◆ 発達の空白化・脳発達と経験の関係
1. 『「空白の発達段階」が子どもを蝕む』
 著:成田 奈緒子(医学博士・小児神経科医・文教大学教授)
 発行:大和書房
 → 発達の空白化によって起きる不登校・逆行現象・社会不適応について臨床例とともに解説。
2. 『脳科学からみた子どもの発達と教育』
 著:加藤 俊徳(医学博士・脳内科医)
 発行:講談社
 → 幼少期の運動・感情体験と脳機能の発達的関連を示し、「動きが思考を育てる」ことを科学的に証明。



◆ 投擲動作の進化と生命活動獲得能力の背景
3. 『Sapiens―全史』
(原題:Sapiens: A Brief History of Humankind)
 著:ユヴァル・ノア・ハラリ
 発行:河出書房新社
 → ホモ・サピエンスが“投擲”を武器に進化した経緯と、身体構造・脳機能の関係を歴史的に解説。
4. 『人間の身体と動作』
 著:石井直方(東京大学名誉教授)
 発行:ベースボール・マガジン社
 → 投擲運動が人間の体・神経系に及ぼす影響、原始的動作の意義を解説。



◆ 非認知能力・社会性と自殺・社会不適応の関係
5. 『非認知能力が子どもを伸ばす』
 著:小塩 真司(早稲田大学 教授・心理学者)
 発行:日本評論社
 → 自己制御・挑戦力・協調性が社会的成功や幸福度にどう影響するかを行動心理学の視点で論じる。
6. 『世界標準の子育て』
 著:船津 徹(教育コンサルタント)
 発行:ダイヤモンド社
 → 知識偏重の日本型教育が「生きる力」を削ぎ、非認知能力と精神的健康の欠如につながるリスクを指摘。



◆ 子どもの自殺・幸福度に関する公式報告・記事
7. 文部科学省:児童生徒の自殺に関する調査結果(令和5年版)
 → 子どもの自殺件数の増加傾向を公式に発表。
8. ユニセフ『レポートカード16』
 → 日本の子どもの精神的幸福度が38カ国中32位とされるデータ出典。
9. 『約40年で自殺する子供の数は1.5倍に…なぜ日本で「子どもの自殺」が増加しているのか』
 出典:文春オンライン(2024年5月)
 → 社会背景や家族・学校との関係性の希薄さが子どもの心理に影響を及ぼしていると指摘。

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8. #育て直しじゃなく育て直せる社会を
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山崎憲治
専門家

山崎憲治(教育アドバイザー)

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