【小1までにボール投げ遊び(キャッチボール)に取り組むべき理由と科学的根拠】

山崎憲治

山崎憲治

テーマ:子育て

【小1までにボール投げ遊び(キャッチボール)に取り組むべき理由と科学的根拠】




1. 運動神経系の発達ピークは5〜7歳:神経回路づくりの黄金期

• 幼児期〜小1にかけて、脳内の**運動神経系(コーディネーション能力)**は急成長します。
• 特にボール投げやキャッチのような「見る・動く・タイミングを合わせる」複合運動は、前頭前野・運動野・小脳を連携させ、神経ネットワークの基盤を築きます。

参考文献:日本スポーツ協会『発育発達理論』/Haywood & Getchell (2014)『Life Span Motor Development』




2. ボール運動は“脳の実行機能”を育てる

• 投げる・取るという動作には、判断力・抑制力・注意集中などの「実行機能(Executive Function)」が必要。
• これは前頭前野の発達に直結し、学習の土台となる「考える力」「やり抜く力」「感情のコントロール力」を育てます。

参考文献:Best, J. R. (2010)/Diamond & Lee (2011)



3. 学力との相関:運動習慣のある子ほどテストの成績が高い

• 脳を活性化させる運動習慣(特にルール・タイミング・反応を伴う動き)は、ワーキングメモリ・読解力・数的処理力にも好影響を与えることが、複数の研究で示されています。
• ボール投げは「空間認知力」や「左右の理解」「予測力」も養われ、算数・理科に強い子どもを育てる要素ともなります。

参考文献:Tomporowski et al. (2008)/ジョン・J・レイティ『脳を鍛えるには運動しかない!』




4. 感情調整・自己肯定感の基礎づくりにもつながる

• キャッチボールは「相手とつながる」「受け取ってもらえる」という信頼感・成功体験の繰り返しに。
• これが癇癪や不安を減らし、自己効力感(=やればできる!)を高めることで、学びに向かう姿勢も安定していきます。



【小1以降になると遅れる・身につきにくくなる理由】

● 神経系の柔軟性が下がり、運動習得が難しくなる

→ 小1以降は「補強フェーズ」に入り、基礎動作の新習得には時間がかかる。
→ 運動が“苦手”と感じやすく、さらに避ける→差が広がるという悪循環に。

● 周囲と差が開き、「劣等感」「自己否定」につながる

→ できる子との差が明確になることで、「体育が嫌い」「運動なんてムリ」と思い込みが固定化。

● 感情や行動の自己制御が未発達のまま進学・思春期へ

→ ボール運動などの複合的な身体活動を経験しないままだと、衝動性・感情の暴発・学習集中困難が起こりやすくなる。




【結論】


小1までにボール投げ・キャッチボールを遊びとして経験させることは、「脳・身体・心・学力」すべての発達において不可欠な“土台作り”です。
後からやろうとしても“学びやすさの窓”が閉まり、取り戻すのに大きな努力とサポートが必要になります。

【参考資料】









1. 『子どもの脳を伸ばす運動遊び』
久保田競・久保田カヨ子 共著/講談社
→ 幼児期のボール運動が前頭前野を刺激し、学習力や感情のコントロール力を育てることを具体的に解説。



2. 『脳を鍛えるには運動しかない!』
ジョン・J・レイティ(John J. Ratey)著/NHK出版
→ 有酸素運動や投動作を含む活動が、セロトニンやドーパミン分泌を促し、脳機能(特に前頭前野)を活性化。学力や情緒安定に効果があることを紹介。



3. Best, J. R.(2010)
「身体活動が子どもの実行機能に与える影響」
Developmental Review, 30(4), 331–551.
→ ボール運動などが、注意力・抑制・記憶力といった実行機能を強化し、感情制御や学習力の向上につながることをレビュー。



4. Diamond, A. & Lee, K.(2011)
「実行機能の発達を促進する介入法」
Science, 333(6045), 959–964.
→ 幼少期におけるルールある身体活動(例:キャッチボール)は、感情コントロール・自己制御・集中力の向上に有効と実証。



5. Tomporowski, P. D. et al.(2008)
「運動が子どもの知能・認知・学業成績に与える影響」
Educational Psychology Review, 20(2), 111–131.
→ 身体活動が子どもの学力・集中力・学習意欲に好影響を与えることを多数の研究から総合的に評価。



6. Haywood, K. M. & Getchell, N.(2014)
『Life Span Motor Development(ライフスパン運動発達学)』
→ 投的運動(オーバーハンドスローなど)は、幼少期に導入することで効果的に習得できるとし、小1以降の遅れが習得困難につながるリスクを警告。



7. 日本スポーツ協会『スポーツ指導者のための発育発達理論』
→ コーディネーショントレーニング(神経系運動)は5〜12歳が最重要期間であり、特に5〜7歳がピークと明記。



8. 『図解 子どもの発達がわかる本』
杉山登志郎 監修/成美堂出版
→ 発達の臨界期に適切な運動刺激がないと、脳と心のバランスが崩れやすくなることを警告。

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山崎憲治
専門家

山崎憲治(教育アドバイザー)

firstball

独自開発の運動プログラムや学習プログラムで運動能力を伸し、やる気や集中力、脳の認知機能(理解・判断・記憶・思考等)を高めて学習することで学力も向上する文武両道実現。心身共に子どもの健やかな成長を育む。

山崎憲治プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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