遺言書の検認(遺言書5)
公正証書遺言の要件
①証人2人以上の立会いがあること
②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること
③公証人が、遺言者の口授を筆記し、これを遺言者および証人に読み聞かせまたは閲覧させること
④遺言者および証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと
⑤公証人が、その証書は法定された方式に従って作ったものである旨を付記して、署名・押印すること
公正証書遺言の特徴
①公証人が作成するから、内容が明確で証拠能力が高い
②遺言書の原本が公証役場で保管されるため、偽造・変造・隠匿の危険性がない
③字を書けない者でも遺言することができる
④家庭裁判所の検認手続きが不要である
公正証書遺言の証人
公正証書遺言を作成する際に立ち会ってもらう証人には、一定の判断能力が要求されます。
また、証人は遺言の内容を知る立場にありますので、遺言者や公証人と利害関係がある人はなることができません。
証人の欠格事由としては、以下の者がこれにあたります。
①未成年者
②遺言者の推定相続人およびその配偶者や直系血族
③受遺者およびその配偶者や直系血族
④公証人の配偶者、4親等内の親族および使用人
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言をしたという事実は明確にしたいが、その内容を生前に誰にも知られたくない場合に利用されます。
<秘密証書遺言の方式>
①遺言者が、その証書に署名し、押印する
②遺言者が、その証書を封じて、証書に用いたのと同じ印章でもって封印する
③遺言者が、公証人および証人2人以上の前に封書を提出し、自己の遺言書であることおよび筆者の氏名・住所を申し述べる
④公証人が、その証書を提出した日付および遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者、証人および公証人がこれに署名・押印する
秘密証書遺言は、遺言内容を秘密にできることや、偽造される恐れが少ないこと、自筆証書遺言のように全文を自書する必要がない(署名は必要)などのメリットがあります。
半面、公証役場に出向き作成する必要があること、証人2人の立会いを要すること、家庭裁判所の検認手続きを要するなどのデメリットがあります。
また、遺言書の内容自体は公証されていないため、その内容をめぐって紛争が起きる可能性があります。
実務的には、秘密証書遺言の利用率は低いといわれています。
それは、公証人に関与してもらう分手続きが煩雑で費用も掛かる(公正証書遺言より安価)にもかかわらず、遺言内容を秘密にするために、遺言内容につき専門家が介在しておらず、法的に有効な遺言となるのか疑わしいためだと考えられます。
せっかく遺言を残しても、無効になってしまっては元も子もありません。
公正証書遺言のデメリットとして、「遺言内容を秘密にできない」という表現をしている書籍などを見かけることがあります。
しかし、公証人には守秘義務があります。
証人にしても司法書士などに依頼すれば、彼らは職務上守秘義務を負っていますので遺言内容が他に漏れる心配はありません。
また、遺言書は遺言のとおりその内容が実行されてはじめて、遺言書を書く意味があります。
そのためには、遺言執行者についてもしっかり配慮された方が良いでしょう。