遺留分の意義と遺留分減殺請求(遺言6)
遺言の種類
遺言には、普通方式と遺言と特別方式遺言の2種類があります。
特別方式遺言
特別方式遺言とは、
①病気その他の理由によって死亡の危急に迫った者
②伝染病により隔離された者
③船に乗っている者
④遭難した船の中で、死亡の危急に迫った者
がすることができる遺言で、通常は使用されることはありません。
普通方式遺言
普通方式遺言には、
①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺言
の3つの方式があります。
自筆証書遺言
⑴自筆証書遺言のメリットとデメリット
自筆証書遺言は、遺言者が①遺言書の全文②日付③氏名を自身で書いて、これに④押印することで成立します。
したがって、証人や立会人は必要なく、費用もかかりません。
ただし、字が書けない状態の人は作成することができません。
また、法律にあまり詳しくない人が自分で作成すると、法定の様式を欠いてしまい無効となるケースもあり得ます。
さらに、遺言書の紛失、偽造、変造、隠匿などの危険がある点もデメリットです。
⑵自筆証書遺言の要件
①全文自書
遺言書の全文を自分で書かなくてはなりません。
ワープロや点字機など機械を使ったものや、ビデオ録画などは自筆証書とは認められず無効となります。
様式について、これといった制限はないので、縦書きでも横書きでもかまいません。
全文が2枚以上になるときには、全体で1つの遺言書であることを確認できるように、契印を押すなどしましょう。
②日付
作成年月日がない遺言書は無効になります。
遺言の成立時期を明確にし、複数の遺言がある場合の前後関係を判断するためです。
作成した日が明瞭になればよいので、必ず暦日を用いる必要はありません。
しかし、後日の無用なトラブルを避けるために、「平成29年7月5日」というように、正確に日付まで書きましょう。
自筆証書ですから、日付も自分で書かなければならず、日付印は無効です。
③氏名
氏名を自書するのは、遺言者がだれであるのか、また遺言が遺言者本人の意思に基づくものであることを明らかにするためです。
④押印
氏名の自書と同じく、遺言が遺言者の意思に基づくものであること明らかにするために、押印が必要です。
押印する印は、遺言者自身のものであれば認印でも拇印でもかまいません。
しかし、偽造や変造を避けるためにも、実印で押印する方が良いでしょう。
⑤加除訂正
遺言書の字句を訂正したり、文字を加えたり除いたりするときには、偽造または変造ではないことを明らかにしなければなりません。
加除その他の変更をする場合は、遺言者が変更の場所を指示し、これを変更した旨を付記してこれに署名・押印をしなければなりません。