遺言書の検認(遺言書5)
遺言の意義
人の最終の意思を尊重し、その人が亡くなった後にその意思の実現を保障するための制度が、遺言制度です。
その人(遺言者)の死亡後の法律関係を定める最終意思を遺言といいます。
一般的には「ゆいごん」と読みますが、法律用語としては「いごん」といいます。
遺言は、私有財産制度に基づく財産処分の自由の延長であり、相手方の行為を必要としない単独行為です。
あまりにも無制限な自由を許すと、残された家族の生活や身分関係に重大な影響を与えます。
そこで、法律で定めたことしか遺言できないよう、遺言事項に制限を設けています。
遺言の必要性
遺言は、遺言者が亡くなることによって、その法律効果が発生します。
自分が死亡した後に相続をめぐって争いが起きることが予想される時に、遺言を残すことはたいへん有用です。
例えば、下記のようなケースでは、遺言書を作成しておくほうが良いでしょう。
・内縁の妻や配偶者の連れ子、息子の嫁など、相続人以外の特定の人に財産を与えたい場合
・事業承継者などの特定の相続人に対して、法定相続分を超える特定の財産を与えたい場合
・子がなく、配偶者と親または兄弟姉妹が相続人となる場合
・認知したい子がいる場合
・相続人が全くいない場合
遺言能力
15歳に達した者は、遺言をすることがきます。
遺言は、法律行為ですから当然に意思能力が必要です。
未成年や被保佐人は、法定代理人や保佐人の同意なく遺言をすることができます。
成年被後見人の場合は、事理を弁識する能力を一時回復した時に医師2人以上の立会いのもと、遺言者が精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかったことの証明があれば、遺言をすることができます。