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二つの不動産会社の名刺を持つ新築マンション販売員 ~貴方は、どこの会社の従業員なの?~

清野隆

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新築マンションの販売は、分譲主自らが販売を行う取引態様が「売主」、分譲主以外の不動産会社が分譲主から委託を受けて販売を行う取引態様が「代理」又は「媒介(仲介)」があります。購入者には、この販売に関する取引態様を明示しなければなりません(宅地建物取引業法第34条)。
販売を行う販売員は、販売に従事する不動産会社の従業者証明書を携帯しなければなりません。これは、宅地建物取引業法第48条に「宅地建物取引業者は、従業者に対して、その従業者であることを証する証明を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。」と規定されているからです。
このような規定があるにもかかわらず、分譲主とは別の不動産会社に従事しているにもかかわらず、分譲主名の名刺を作成し販売に従事している販売員がいるとの噂を聞いた事があります。お客様から見れば、その販売員は、分譲主の社員として疑うことなく信じると思います。もし、後日、お客様がその販売員が分譲主の社員でなく、本当は別の不動産会社の社員という真実を知ったらどうなるでしょうか。おそらく、分譲主どころか不動産会社を信用しなくなるのではないでしょうか。
この行為は、宅地建物取引業法上の問題点を検証してみると、上記の取引態様については、分譲主との契約となるので一見、問題はなさそうですが、どこか、釈然としない部分があり、グレーゾーンのように思えます。つまり、その販売員を信用し購入している事実を考慮すれば、この取引態様は「代理」ではないかと思えることです。次に、従業者証明書の携帯義務という点では、明らかに抵触していると思います。つまり、名刺の会社と従業者証明書発行者の会社が違う事になるからです。
宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者の健全な発展と消費者保護を目的として制定されているのもかかわらず、上記の行為は、正に「不健全」と言えます。
分譲主が、他の不動産会社に販売を委託するならば、正規の形で「代理」又は「媒介(仲介)」の契約を締結した上で行うべきであり、他の不動産会社従業員に分譲主の「名刺上の社員」をさせてはならないのです。
これから、不動産会社を利用される方は、その担当者の従業者証明書を確認してはいかがでしょうか。あるいは、不動産会社を利用された方で、「名刺上の社員」を疑われる方、遡って確認してはいかがでしょうか。

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清野隆(マンション管理士)

マンション管理トータルサポート

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