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清野隆(せいのたかし) / マンション管理士

マンション管理トータルサポート

コラム

不可解な「敷地通行料」について ~マンションの敷地を通行するのは有料なの?~

2017年9月6日

コラムカテゴリ:住宅・建物

あるマンションにおいて、管理費、修繕積立金、駐車場使用料の他に「敷地通行料」という名目の費用が計上されているという情報を耳にしました。この「敷地通行料」とは、分譲駐車場を所有している区分所有者だけが負担し、分譲駐車場から公道へ出るにはマンションの敷地を通行するので、その敷地を通行する為の対価であると分譲主の販売担当者から説明されたとの事でした。
マンションの敷地は、当該マンションの区分所有者共有の土地です。言い換えれば、区分所有者一人一人が持分〇分の〇という形で所有しているのです。分譲駐車場の所有者が当該マンションの区分所有者であるならば、自分の持分がある土地を通行する為に「敷地通行料」を支払っていることになります。つまり、所有する土地は、当然として無償で自由に通行できるはずなのに、「敷地通行料」としてお金を支払うというのは、実に理不尽なことなのです。分譲主が、なぜ、このような「敷地通行料」を設定したのか意味不明です。
分譲主の販売担当者が「分譲駐車場から公道へ出る為にはマンションの敷地を通行するので、その敷地を通行する為の対価を支払わなければならなのです。」と「敷地通行料」の支払い義務の根拠を説明していたとしたら、「宅地建物取引業法」の重要事項説明違反(虚偽説明)に抵触している可能性があります。宅地建物取引士なら「自分の土地」を通行するのに「お金」を払う根拠はないことは、当たり前のように理解しているはずです。九州地方整備局建政部宅地建物取引業係(TEL092-471-6331)又は福岡県庁建築指導課宅建業係(TEL092-643-3719)へお尋ねしてみてはいかがでしょうか。自分の持分のない他人の所有地を通行する場合には「通行料」なるものを請求されたとしても抗弁はできませんが、自己が持分を所有する土地の通行であるならば、無償で通行できるのが当たり前だと思います。
新築マンション販売において、ごく一部の分譲主がこの「分譲駐車場」の販売を行っております。つまり、敷地の一部を切り売りして、少しでも、一般消費者からお金を吸い上げようとしているようです。あまり、好ましい販売方法とは思えないです。また、分譲駐車場について、判例(最二小判平成10年10月30日)においても、「私法上の効力を否定するものではないが、好ましいものではない」。と判示し、最高裁の考えは分譲駐車場販売について消極的のように思えます。

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