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清野隆(せいのたかし) / マンション管理士

マンション管理トータルサポート

コラム

管理会社のコンプライアンス(法令遵守)は何処へ

2017年7月27日

コラムカテゴリ:住宅・建物

以下に述べる事案は、実際にある管理会社で起こった出来事とやりとりです。
この管理会社では、社員の一人が、複数の管理組合の口座から数百万円を不正に引き出し、遊興費等に使っていました。この横領が発覚するや否や、他の社員一人が、管理組合口座名義人をその社員の個人名義にしており、通帳には管理組合名義に見せるため、シールを貼っていたのです。さらに、A管理組合の工事代金数百万円を支払うため、B管理組合の理事長を言葉巧みに騙し、A管理組合の工事代金をB管理組合の口座から支払わせたのです。その上、その社員は、印鑑が捺印しているだけの銀行払出用紙を多数持っていたのです。
同時に、横領事件が2件発生する事自体、大変な問題なのですが、そのあとの管理会社の管理組合に対する対応、社内的な対応も驚くようなものです。
横領の事実を管理組合役員数名に報告し、横領した金銭は管理会社が立替えるようにしたのですが、問題は管理組合への報告の仕方なのです。理事会にのみ報告し理事長に「この横領の事実は役員のみにとどめ、他の組合員には黙っておいて下さい。」と緘口令を出したのです。さらに、社内的には、「不正の事実をわざわざ行政に報告する馬鹿な会社なんてこの世にない。行政処分を受けに行く会社なんてありえない。」と国土交通省への届出も行わなかったのです。
管理組合の預貯金は、組合員全員の財産です。全員の財産を横領されたならば、組合員全員に対して謝罪と対応を説明すべきなのです。報告を受けた役員の方々も組合員全員に対して説明会を開催すべきなのです。説明会を開催しなければ、役員の方々も不正に加担した「共犯」となるのではないでしょうか。
管理会社は国土交通省の管理下にあります。つまり、管理会社の免許は国土交通省が発行しています。よって、不正の事実は、当然のように国土交通省に報告すべきなのです。
上記に述べた管理会社の他に、こんな管理会社がありました。
この管理会社は、元社員による横領事件により、国土交通省から行政処分を受けていました。管理会社は、行政処分を受けた場合、受託している管理組合に対し行政処分を受けた事実を報告しなければなりません。これは、「標準管理委託契約書」の「第12条2項5号」に管理会社が行政処分を受けた場合は管理組合に知らせなければならないという「通知義務」があるからなのです。しかし、この管理会社は、「通知義務」を履行していませんでした。つまり、行政処分を受けた事実を受託管理組合に対し、知らせなかったのです。
このような、コンプライアンス(法令遵守)を無視した管理会社ばかりではなく、むしろコンプライアンスをしっかりと実行している管理会社の方が多いのも事実です。。
皆様が委託している管理会社は、しっかりとコンプライアンスを実行しているでしょうか。「任せっきり」にならず、時には「疑い」の目を光らせてみてはどうでしょうか。

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