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清野隆

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清野隆(せいのたかし) / マンション管理士

マンション管理トータルサポート

コラム

分譲マンションの「法定点検」について

2017年6月8日

コラムカテゴリ:住宅・建物

マンションの設備により、「法定点検」を受けなければならない設備は様々ですが、設備ごとに説明致します。

①エレベーター
「エレベーター」設備があれば、毎月の点検があり、年に一度、官公庁に点検結果を報告し、「検査済証」の発行を受けエレベーター内に掲示しなければなりません。これは、生命に関わる重要な点検であるといってもよいでしょう。

②消防設備
火災等で消防設備が正常に作動するか、正常な機能を有しているかを点検します。半年に一度「機器点検」1年に一度の「総合点検」を実施します。さらに、3年に一度、所轄の消防署へ「点検結果」を報告しなければならないと法律で定められています。これも、生命に関わる重要な点検です。「マンションは火災が起こりにくいから、点検は1年に一度でいいだろう。」と法律で定められた点検を行っていないマンションの居住者、マンション管理会社担当者の声を聞いた事があります。また、消防署への報告は、3年に一度なので、3年に一度の点検でよいと誤解されているマンション居住者の声も聞いたことがあります。とんでもない話です。このように、法律で定められている点検を怠り、マンション内で火災が発生し犠牲者が出た場合には、そのマンションの管理者(理事長)、防火管理者が様々な法の裁きを受けることになります。具体的な法の裁きとして、民事における「損害賠償請求」による金銭的な裁き、刑事においては「消防法違反」による「懲役」等の刑事罰などがあります。万が一の場合に備え、被害を最小限度にとどめるための点検であることを理解すべきと思います。

③貯水槽
マンションに「受水槽」「高置水槽」のいずれも、もしくはいずれかが設置されている場合には、有効水量10㎥超の場合は「簡易専用水道検査」、有効水量10㎥以下の場合は「小規模貯水槽水道検査」年に一度、検査を受けなければなりません。マンション居住者へ飲料水が衛生的な状態で供給されているかを検査するものです。これは、厚生労働省(実務的には、委託機関が行う。)が水道法の定めを根拠に行う法定検査です。マンション居住者の健康に関わる重要な検査です。不衛生な状態で飲料水が供給されていると必ずしやマンション居住者に健康被害が及ぶ可能性が高くなります。「ウチのマンションは年に一度、貯水槽清掃しているから、このような検査は受けなくてよい。」と言っているマンション管理会社担当者、マンション居住者の声を聞いたことがあります。明らかに水道法を無視していることなのです。検査を受けずに飲料水を供給し、万が一、マンション居住者の健康被害が発生した場合には、消防と同様、マンションの管理者(理事長)が民事、刑事の責任を問われることは言うまでもありません。

④その他
「受水槽」「高置水槽」が設置されておらず、直結式で飲料水を供給しているが、水圧補助の為「増圧給水装置」が設置されている場合には、その「増圧給水装置」の「逆流防止機能」が正常に作動しているかという「機能点検」があります。水道本管からマンションへ供給された水が「逆流」すると、水道本管への支障をきたすのでこのような点検が義務付けられています。
その他、「法定」ではなく「任意」の点検となりますが、機械式駐車場、オートロック扉、留守番ロッカーが設置されているマンションでは、1ヶ月~4ヶ月に一度の「保守点検」があります。点検の目的は、異状をきたし被害が発生しないよう予防、防止する為です。特に「機械式駐車場」では、死亡事故が発生しているため、気を付けなければなりません。

このように、「法定点検」「任意点検」の目的は、マンション居住者の生命、健康を守り、いつまでも「快適」に生活し続けていただくように定められているものなのです。

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