走り切った一年に、ありがとうを|人生を整える旅の終着点
70kmを越えた、その先にあったのは
「無音」だった
壱岐ウルトラマラソン、70km地点。
そこから先は、もう「走る」というより、
“意志だけで進む”時間でした。
足は棒のようで、頭はぼんやり。
痛みも辛さも、やがて感覚から消えていき、
ただ一歩、一歩──。
この無音の中で、私は
“なぜ走っているのか”という問いに、
もう一度出会うことになったのです。
無意識の中で浮かんできた
「走る理由」
どこかで見た空、誰かの声、
昔、初めてウルトラを完走したときの映像が
頭の奥で静かに流れはじめる。
苦しいけど、止まれない。
やめたいけど、やめられない。
それは、誰かの期待のためでも、
大会の記録のためでもなく、
「もう一度、自分を信じるため」
でした。
あなたも、今の自分を整え直す時間が必要なら
沿道の声に涙がこぼれた
80km地点、海沿いの細い道。
「ファイト〜!あと20km!」という声に、
胸が熱くなって涙がにじんだ。
誰かの一声が、
こんなにも支えになるとは思っていなかった。
壱岐の人のやさしさ。
海風の清らかさ。
木の香りのように、
静かに寄り添ってくれる空気。
それが、この旅の一部になっていたのです。
再び訪れた“整う瞬間”
85km地点の最後のエイドで、足を止める。
渡されたバナナと味噌汁を食べたとき、
「これが人生で一番美味しいかもしれない」と思った。
空腹を満たすためだけじゃない。
心が、整っていくのがわかる。
痛みを受け入れ、苦しみを飲み込み、
すべてを肯定できる自分に戻っていく瞬間。
この瞬間を記憶に残すために、
言葉や香りというツールがあるのだと思います。
日常でも“整う感覚”を持ち続けたい方に
次回予告|ゴールの先に見えた、新しい自分
いよいよ、ラスト15km。
目の前に現れた急坂と、
最後の“心の壁”。
そこを越えて、
私は何を見たのか。
そして、6年ぶりの完走が
もたらしたものとは──
【第5弾】でそのすべてを綴ります。



