台所は〇〇の空間だった
食卓からはじまる「感謝」と「健康」
〜ひのきのまな板が教えてくれる、暮らしの大切なこと〜
「いただきます」「ごちそうさまでした」。
この当たり前の言葉に、私たちの暮らしに欠かせない感謝の心と、毎日を支える健康への祈りが込められています。
食事とは、ただ栄養を摂る行為ではありません。
その一皿には、食材の命、育てた人の手間、作る人の時間、そして家族の健康を願う気持ちが詰まっています。そんな思いに気づいた瞬間、自然と感謝の心がわいてくるのです。
近年、健康への関心がますます高まるなか、「何を食べるか」だけでなく「どのように食べるか」「どんな道具を使うか」が問われるようになってきました。とくにひのきは、日本の暮らしのなかで古くから人々の健康を守ってきた素材。抗菌性が高く、木の温もりと香りが心を落ち着かせてくれるため、キッチンツールとしても見直されています。
たとえば、ひのきのまな板。
料理をする人なら、一度は耳にしたことがあると思います。
このまな板はただの「調理道具」ではありません。切るたびに漂うひのきの香りが、心と身体の緊張をほどき、「今ここ」に集中する感覚を与えてくれます。そして、それが日々の健康維持につながるのです。
実際、森林浴と同じようなリラックス効果をもたらすとされるひのきの香りには、ストレスホルモンの抑制や自律神経の安定、免疫力アップなど、さまざまな健康効果が報告されています。料理中にこの香りを吸い込むだけでも、心にゆとりが生まれ、自然と「ありがたいな」という感謝の気持ちが湧いてくるから不思議です。
そして何より、道具に感謝を込めるという習慣もまた、心を豊かにしてくれます。ひのきのまな板を使っていると、使い終わったあと、自然と手入れしたくなる。不思議と丁寧に扱いたくなる。これもまた、日本人が古来から大切にしてきた「物を大切にする心」、つまり感謝の文化なのだと思います。
伊勢神宮では、神様に毎日食事をお供えする神事「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」が、なんと1500年以上続けられています。そこに込められているのも、命と自然、そして人への感謝。そして、神にささげる食の清らかさは、まさに健康と祈りの象徴です。
私たちの暮らしも、神事のように厳かでなくてもかまいません。
ただ、毎日の料理の中で、ひのきの道具を通して自然に感謝を感じ、食べる人の健康を願う——そんなささやかな積み重ねが、豊かな暮らしをつくっていくのではないでしょうか。
「食」は命をつなぐ行為。
「感謝」と「健康」と「ひのき」から、暮らしを見直してみる。
そんな一歩から、あなたの台所と人生が、少しずつ変わっていくかもしれません。



