御神木のチカラをそばに置くと?
水は「命の源」とよく言います。
人間のカラダも80%近くが水で出来ている
というのも周知の事実です
でも、その水がどこから来て、
どうやってじぶんのカラダを
守ってもらっているのかを、
どれくらい知っているでしょうか?
九州の中心にある阿蘇山。
その周囲は外輪山や大観峰など
たくさんの草原に守られています。
阿蘇の草原は、ただの美しい風景
というではありません。
実はこの草原こそが、
水源涵養(すいげんかんよう)の働きを果たし、
森林の健全性を支えている、
大切な存在でもあるのです。
阿蘇地域は、
全国的にも珍しい
「広大な草原地帯」が
残っている重要なエリアです。
この草原は、自然にできたものではなく、
長い年月にわたって人々が
「野焼き(のやき)」という
文化を守り続けることで
維持されてきました。
野焼きとは、
毎年春先に草原を焼き払うことで、
木が生い茂るのを防ぎ、
草地を保ち続ける伝統的な方法です。
では、草原と水源涵養、
そして森林には
どんな関係があるのか?
じつは、草原の土は
スポンジのような構造を持っていて、
雨が降るとその水をしっかりと蓄えます。
ゆっくりと時間をかけて、
その水は地下へと染み込み、
やがて湧き水となり、
川となり、地域の水源を支えてくれるのです。
水が安定して供給されることで、
周辺の森林も健やかに育つことができます。
もし草原の機能が失われると、
スポンジの役割を果たせなくなるため
雨水は一気に流れ出してしまい、
土壌が流され、森林も
水不足に陥ってしまうでしょう。
だからこそ、草原の存在は、
阿蘇全体の自然のバランス──
とりわけ森林の健康にとって
欠かせないものなのです。
たとえば、南阿蘇村周辺には
「白川水源」をはじめとした
豊かな湧き水スポットが点在しています。
これらの水源も、
もとはといえば阿蘇の草原が
蓄えた水のおかげ。
実際に白川水源では、
冷たく澄んだ水がコンコンと湧き出し、
訪れる人たちを癒しています。
その背後には、
何百年も続けられてきた
草原管理(野焼き)の努力があることを、
私たちはなかなか気づきません。



