御神木のチカラをそばに置くと?
突然ですが、あなたは「森」と聞くと、
あなたは何を思い浮かべますか?
静かな癒しの場所?
それとも遠くて関係のない世界?
でももし、森が私たちの未来や
心のあり方を映す“鏡”だったとしたら──
この連載は、そんな森の物語を、
阿蘇とひのきを通して
お伝えするお話になっています。
熊本県南阿蘇に広がる
「南郷檜(なんごうひ)」の森。
日本で唯一、挿し木によって受け継がれるひのきの森は、
阿蘇山の火山性土壌、草原と水の循環、
そして地域の人々の手によって守られてきました。
この10回の連載では、
ひのきがなぜまっすぐ育つのか、
なぜ病気に強く健康に生きられるのか、
なぜ「ただの木」ではなく
“暮らしと未来を支える存在”なのかを、
地形・気候・文化・人の営みという視点から、
ひとつひとつ紐解いていきます。
そして何より、南郷檜の森が
「誰かに守られてきたもの」ではなく、
「みんなで育てていくもの」
だということに気づいてもらえるはずです。
それは、読者であるあなたにもできる
「小さな森づくり」の
ヒントになるかもしれません。
たとえば、火山性の大地が
ひのきをどう支えているか。
また、南阿蘇の冷涼な気候が
木の“健康”をどう守っているか。
それらの話を深く掘り下げた
「自然にゆだねる力」が
いかに大切かを知ることになります。
さらに第3回以降では、
挿し木という技術がひのきを未来へと
“つなげる”希望になっていること、
第4回では外輪山に囲まれた地形が
いかに森を“包み守る”役割を果たしているか
を明らかにしていきます。
草原・水源・野焼きという
阿蘇ならではの文化が
どう森を支えているかも取り上げ、
後半では、ひのきが建築材として
暮らしにどう寄り添い、観光や教育と
どのように結びついているのか──
そして最終回では、
地域住民とともに育む
「100年後の森づくり」
についてお届けします。
この連載は、
ただ自然を紹介するものではありません。
阿蘇のひのきと出会いながら、
「自分と自然のつながり」に
気づいてもらうための10のヒントであり
物語なのです。
毎回のコラムを通じて、
自然の知恵、人の技、
森のやさしさを受け取りながら、
少しだけ日々の呼吸が深くなったり、
ひのきの香りに癒されたり、
未来の暮らしにやさしくなれたら──
そんな“変化のきっかけ”になる
お話になることを願っています。
さあ、ひのきの森を歩く旅へ
一緒に出かけてみませんか?



