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包丁の〇〇〇〇の原因はまな板かも?

佐々木丘

佐々木丘

テーマ:子供とママの思い出の逸品

合成まな板と木のまな板、包丁が長持ちするのはどっち?

気づいたら包丁の切れ味が落ちていた…
その原因は「まな板」かも?


かつてこんなご経験を
したことはありませんか?
最近、包丁の切れ味が
悪くなってきた気がする。
以前はスッと切れていたトマトが、
つぶれてしまうようになった。
「もしかして、自分の切り方が悪いのかな?」
と思いながらも、
包丁を買い替えるほどではないと
そのまま使い続けてしまう。

実は、
その包丁の切れ味を落としているのは、
まな板の素材かもしれません。
まな板は、包丁と毎日直接触れ合う道具。
その素材によって、
包丁への負担が大きく変わってくるのです。

結論から言うと、
木のまな板は包丁にやさしく、
刃こぼれしにくい素材。
反対に、合成樹脂やプラスチックのまな板は、
刃こぼれの原因になることが
少なくありません。

今回は、木のまな板と合成まな板、
それぞれの素材が
包丁に与える影響や選び方のポイントを、
木材の視点から詳しくお伝えします。


合成まな板は硬すぎる?
刃こぼれしやすい理由とは

挿絵多くのご家庭で使われているのが、
ポリエチレンや合成樹脂製のまな板。
軽くて扱いやすく、
漂白剤での除菌がしやすいことから
かなりの人気があります。

ただ、この合成まな板の
「硬さ」と「弾力のなさ」
が、実は包丁には
負担になることもあるのです。

包丁で食材を切るとき、
刃はまな板に触れます。
そのとき、合成まな板の硬い表面は、
刃先に直接的な衝撃を返してくるため、
刃が細かく欠けたり、微妙に曲がったりする
いわゆる「刃こぼれ」
が起こりやすくなるのです。

特に、薄くて繊細な
包丁(和包丁など)を使っている家庭では、
切れ味の持ちが明らかに
変わってくるケースもあります。

合成まな板のメリットはあるものの、
包丁を長く使いたい人には
注意が必要な素材です。


それに対して、木のまな板に
よく言われる理由のひとつが、
包丁へのやさしさです。

木には
「適度なやわらかさと弾力」があります。
包丁の刃がまな板に触れたとき、
その衝撃を木の繊維が吸収してくれるため、
刃こぼれが起きにくくなります。

これはまるで、
木が包丁のクッションに
なっているようなもの。
料理をしていて手が疲れにくくなるのも、
この「衝撃の吸収力」のおかげです。

特に、ヒノキやイチョウなどの国産材は、
包丁との相性が良く、プロの料理人の中でも
根強い人気があります。

木のまな板を使っていると、
包丁の切れ味が長持ちするだけでなく、
結果的に包丁の買い替え頻度が減り、
道具にかかるコストも抑えられる
という利点もあります。



実際にどれくらい違う?
包丁の寿命と買い替えコスト

たとえば、5,000円の家庭用包丁を
使っているとしましょう。

合成まな板を使っている場合、
刃こぼれや切れ味の劣化が早く、
2〜3年で買い替える人が多いです。
それに対して、木のまな板を使って
丁寧に手入れしていれば、
同じ包丁を5年以上使い続けることも可能です。

10年間で換算すると…
・合成まな板+2〜3年ごとに包丁買い替え
 → 5,000円 × 3〜4本 = 15,000〜20,000円

・木のまな板+包丁1〜2本で済む
 → 5,000円 × 1〜2本 = 5,000〜10,000円

このように、まな板を木に変えるだけで
包丁の寿命が伸び、道具にかかる
トータルコストも下がることがわかります。

木のまな板と包丁という視点で見ると、
木のまな板は長い目で見てもおすすめです。
おすすめの木材と
避けた方がいい素材のポイント

木のまな板を選ぶ際には、
木の種類にも注目しましょう。
おすすめは以下のような木材です。

・ヒノキ:抗菌性があり、適度な柔らかさ。香りも良く、人気が高い
・イチョウ:弾力があり、反りにくい。プロの料理人にも愛用者多数
・サクラ:やや硬めで傷がつきにくい。滑らかな使い心地

一方で、安価な合板や、
表面にウレタン塗装などを施したまな板は、
刃の当たりが固く、
刃こぼれの原因になることがあるので
注意が必要です。

木のまな板を選ぶときは、
厚みがあり、木目が
まっすぐで均一なものを選ぶと、
長く使える良品に出会える
可能性が高まります。


まとめ:包丁を守るためのまな板選びを

包丁は、家族の食事を支える
大切な調理道具です。
その包丁を長持ちさせるかどうかは、
まな板の素材が大きく関係しています。

合成まな板は便利ですが、
刃への負担が大きく、
刃こぼれや切れ味の劣化が早くなる
傾向があります。
一方、木のまな板は包丁に優しく、
切れ味が長持ちするだけでなく、
料理の時間そのものも快適にしてくれます。

毎日のことだからこそ、
道具との付き合い方を
見直してみてはいかがでしょうか。
家計にもやさしく、
子どもたちの食卓を支える道具としても、
木のまな板はきっと
頼れる存在になってくれるはずです。

次回予告

「木のまな板は一生モノ?
暮らしに寄り添う道具とのつきあい方」


いよいよ次回は最終回。
これまでのコラムを通して、
まな板選びのヒントや木材の魅力を
お伝えしてきました。

最後は、木のまな板を“育てていく道具”
として使い続ける暮らし方
についてご紹介します。

子どもが成長する時間とともに、
まな板も味わいを増していく。
そんな「100年使える道具」をめざして、
道具とのつきあい方を
一緒に考えてみませんか?

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佐々木丘
専門家

佐々木丘(木材バイヤー)

合同会社Green’s Label

プロの料理人向けに原木から仕入れてオーダーメイドのまな板を作成。ご神木のDNAを『挿し木』という技法で受け継ぎ、ゆっくり真っ直ぐ育つ「とあるひのき」を扱う。木目の美しさから「美人まな板」と呼ばれている

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