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台所は「お家の聖地」〜感謝と祈りが宿る場所〜

佐々木丘

佐々木丘

テーマ:神様がやってくる台所

あなたにとって、
台所はどんな場所ですか?

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ただの料理を作るスペース?
冷蔵庫と電子レンジが置いてある便利な空間?
それとも、家族の健康を支える大切な場所?

じつは昔の日本では、
台所はもっと神聖な意味を
持っていました。
そこには、私たちが忘れかけている
「感謝」と「祈り」が、
しっかりと息づいていたのです。

台所には神様がいた?

かつての日本の台所には、
「三宝荒神(さんぽうこうじん)」
という神様が祀られていました。
この神様は、台所の火を守り、
家族の健康や安全を見守ってくれる存在です。

それだけではありません。
火の神、水の神、穀物の神…
食べ物をつくるという営みの中には、
さまざまな神様の気配が感じられました。

つまり、台所は単なる調理スペースではなく、
「家の聖地」として、
家族全員の命と健康を支える場所だったのです。

私たちのご先祖さまたちは、
台所に立つこと自体が“神事”であると捉え、
「感謝」と「祈り」の気持ちを込めて
食事を用意していました。

おばあちゃんの朝ごはんに宿っていたもの

私の原風景に、祖母の家の台所があります。
朝早く起きて、炊きたての白ごはんと、
湯気の立つ味噌汁。
たったそれだけの、
なんてことない朝ごはんです。
けれど、大人になった今でも
その光景や味、漂っていた香りの記憶が忘れられません。
あの朝ご飯は、ただお腹を満たしてくれただけではなく、
心までじんわりと満たしてくれていたのです。

それはなぜか。

いま振り返って気づくのは、
祖母が使っていた道具のぬくもりです。
木のまな板に、土鍋、ガス釜、木のしゃもじ。
IHではなく、火で炊かれたご飯は甘く、
香り高く、まるで「素材が生きているよう」
でした。
そして何より、祖母の所作ひとつひとつに
「てまひま」と「想い」が込められていた。
それこそが、食に【命】を吹き込まれていたのだと、
ようやく今になって気づきました。
台所で料理をするという行為は、
単なる作業ではなく、命の循環に触れる行為。
だからこそ、そこには
「感謝」と「祈り」が必要なのだと思います。

現代の台所が失ったもの

今の時代はとても便利です。
スイッチひとつでご飯が炊けて、
電子レンジで数分温めれば夕食の完成。
調理家電も充実し、時短料理も当たり前になりました。
けれど、便利さの裏側で、
私たちは何か大切なものを
置き去りにしてはいないでしょうか?

たとえば、「家族の健康を願う気持ち」
たとえば、「今日も食べられることへの感謝」
たとえば、「手間をかけることで伝わる愛情」

そういった目には見えないものこそが、
食卓を豊かにし、心を満たしてくれる
まさにそれこそが【真の栄養】
なのではないでしょうか。

「感謝」と「健康」は
あなたの台所から始まる

忙しい現代だからこそ、
見直してはいかがでしょう?
台所をただの『調理場』ではなく、
「感謝と祈りの場」として。
だからとって
無理に手間をかけなくてもいいんです。
炊き立てのご飯に、味噌汁を添えて、
「今日もありがとう」
とつぶやいてみる。
たったひとつの習慣が、
あなた自身の心を整え、
家族との関係に温かな変化を
もたらしてくれるかもしれません。
あなたの台所が、
「家族の健康」と「心の豊かさ」を育む
【聖地】になりますように。
そして、今日という一日に、
心からの「感謝」を込めて。

次回は、
「自然素材の道具」がもたらす癒しと、
料理への意識の変化について、
さらに深く掘り下げていきます。
どうぞお楽しみに。

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佐々木丘
専門家

佐々木丘(木材バイヤー)

合同会社Green’s Label

プロの料理人向けに原木から仕入れてオーダーメイドのまな板を作成。ご神木のDNAを『挿し木』という技法で受け継ぎ、ゆっくり真っ直ぐ育つ「とあるひのき」を扱う。木目の美しさから「美人まな板」と呼ばれている

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