家事楽・家事動線デザイン福岡市建築士と家づくり・ 注文住宅・ハウスデザイン
2025年11月更新
女性建築士(建築士ダイレクト)が考えた
「家事ラク動線」のつくり方
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こんにちは。
㈱清武建設一級建築士事務所の女性建築士です。
今日は
「毎日の家事を少しでもラクにしたい」
という方に向けて
私が実際のプランでいつも意識している
「家事楽動線」についてお話しします。
スマホで読みやすいように
短めの文章で区切っていきますね。
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■ 家事楽動線って、そもそも何?
家事楽動線とは
「家事のための移動がムダなくつながっている動線」
のことです。
・買い物してきた食材をしまう
・料理をする
・洗濯する
・干す
・しまう
・掃除をする
こうした動きが
「行ったり来たり」にならず
「くるっと一周」「まっすぐ一筆書き」
のようにつながっていると
家事の疲れ方が
本当に変わります。
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■ 家事は「点」ではなく「線」で考える
「キッチンを広くしたい」
「ランドリールームがほしい」
こうした希望は
どうしても “場所=点” で考えがちです。
でも本当に大事なのは
それぞれの場所が
どう “線” でつながるか。
・どこからどこへ動くのか
・その途中で何を持つのか、何を置くのか
・誰と動線が交差するのか
これを一つひとつ
具体的な動きをイメージしながら
間取りに落としていきます。
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■ 買い物〜料理の「キッチン動線」
まずは毎日の「食」の動線から。
私がよく提案するのは
この流れです。
玄関
↓
土間収納・パントリー
↓
キッチン
買い物袋を持って帰ってきたら
玄関ですぐ靴を脱ぎ
そのまま一歩二歩で
土間収納やパントリーへ。
・非常用の水やまとめ買いの飲料
・お米、調味料、ストック食材
こういった重いものを
玄関近くにしまえるようにしておくと
キッチンまで運ぶ負担が減ります。
その後に
冷蔵庫・キッチンへ流れるので
「家に入る → しまう → 料理の準備」
が一連の動きで完結します。
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■ 洗う・干す・しまうの「洗濯動線」
次に、負担の大きい洗濯。
基本の流れは
洗濯機
↓
干す場所(室内干し・バルコニーなど)
↓
収納(ファミリークローゼットなど)
この3つを
できるだけ近くにまとめます。
おすすめは
脱衣室+ランドリールーム+
ファミリークローゼットを
一帯で計画すること。
たとえば
脱衣室(洗濯機)
↓ 数歩
室内干しスペース
↓ 数歩
ファミリークローゼット
このように配置しておけば
・洗う
・干す
・取り込む
・たたむ
・しまう
がワンフロア・ワンエリアで完結します。
「2階のベランダで干して
1階の各部屋の収納にしまう」
といった上下移動がなくなるだけで
一日の歩数と疲労感がぐっと減ります。
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■ リビング周りの「片付け動線」
家事の中で
意外と時間を取られているのが「片付け」。
特にリビングは
物が集まりやすい場所です。
私がよく意識するのは
・リビング入口付近に「定位置収納」をつくる
・子どもの持ち物は玄関〜リビングの途中に置き場をつくる
・掃除道具の待機場所をリビング近くに用意する
ということ。
たとえば
玄関
↓
ただいま動線(手洗い+ランドセル収納+上着掛け)
↓
リビング
と流れる中に
・ランドセル棚
・ハンガーパイプ
・学校書類用のボックス
などをまとめておくと
「リビングにランドセルが放置される」
「上着がソファの背もたれの上…」
というストレスが減ります。
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■ ぐるっと回れる「回遊動線」は本当に便利
家事楽動線で
特に喜ばれるのが「回遊動線」です。
キッチンを中心に
キッチン → 洗面 → 脱衣 → ランドリー → ファミリークローゼット → 廊下 → リビング → キッチン
と、
一周ぐるっと回れるような間取りにすると
・すれ違いが少ない
・家族が別方向から出入りできる
・行き止まりがないのでストレスが少ない
というメリットがあります。
ただし、回遊動線は
通路ばかり広く取りすぎると
居室が狭くなってしまうので
「最小限の幅で、最大限の効果」
を意識して設計します。
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■ プランを見るときの「家事楽チェックリスト」
間取りの打合せ中に
ぜひチェックしてほしいポイントを
簡単にまとめます。
【買い物・キッチン】
・玄関からパントリー → キッチンは近いか
・冷蔵庫が遠くないか
・ごみの一時置き場は動線上にあるか
【洗濯】
・洗濯機から干す場所までの歩数は?
・干す場所と「しまう収納」は近いか
・雨の日の室内干しの場所は確保されているか
【片付け・収納】
・リビングに「とりあえず置き場」が用意されているか
・玄関〜リビングの間に、カバン・上着の定位置があるか
・掃除機や日用品ストックの収納が動線上にあるか
図面だけで判断しにくい場合は
一度、「朝起きてから寝るまで」の自分の動きを
想像しながら
指でなぞってみてください。
「ここ、行ったり来たりしてるな」
と思う場所は
家事が大変になるポイントです。
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■ 女性建築士として意識していること
私自身、
仕事と家事を両立している立場として
「がんばればこなせる家」ではなく
「がんばらなくても回る家」
をつくることを大切にしています。
デザイン性や見た目ももちろん大事ですが
・買い物帰りで両手がふさがっているとき
・子どもを抱っこしているとき
・少し体調が悪いとき
そんな“余裕がない日”でも
なるべくラクに家事がこなせること。
それが
長く住んでからの「満足度」に
つながると感じています。
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■ さいごに
家事楽動線は
「特別な贅沢」ではなく
間取りを考える早い段階で
しっかり話し合えば
誰でも取り入れられる工夫です。
これから家づくりをされる方は
・やりたいインテリア
・広さや間取りの希望
と同じくらい
「自分たちの家事のしかた」
「一日の動き」
も、建築士にたくさん伝えてみてください。
女性建築士として
その暮らし方に寄り添った
家事楽動線を
一緒に考えていけたらうれしいです。



