第7回 家庭と学校をつなぐデジタル活用 ― 保護者の理解と協力を得るには
なぜ、この連載を始めるのか。〜ブランクを越えて“現場”に戻ってきた理由〜

私のICT支援員としての歩みは、少し独特です。
久留米市で2年間GIGAスクールサポーターとして働き、
その後、別の自治体で1年半。
合計3年半、毎日のように学校に入り、
先生や子どもたちと共に過ごしてきました。
しかしその後、私は 1年間のブランク を迎えることになります。
■ 1年間のブランクは「ただの空白」ではなかった
ブランクと聞くと、「仕事から離れた期間」と思われがちです。
ですが私にとってその1年は、まったく違いました。
実はその時期、休眠状態だった
株式会社CNCコンサルティングを再始動させるための準備期間
でもあったのです。
私はこれまで 30年以上にわたり、現場に根ざした仕事に携わってきました。
商品販売・集客・顧客コミュニケーションといったマーケティング実務に加え、
スタッフ育成や教育、そして店舗マネジメントにも長く携わってきました。
これら マーケティング・教育・マネジメントの三つの軸 で培った経験が、
今の私の基盤となり、現在のコンサルティング活動にも活かされています。
さらに近年は、
生成AIの活用、ICT教育支援の体系化、
そして教育とビジネスをつなぐ“新しい視点”も育ってきました。
3年半の学校現場での経験、
20年以上のマーケティング経験、
生成AIの専門性。
この3つが自分の中で組み合わさり、
「CNCコンサルティングをもう一度動かそう」
という決意につながったのです。
だからこそ、この1年のブランクは
“止まっていた時間”ではなく、
未来に向けてエンジンを組み直すための大切な時間
でした。
■ それでも心のどこかで思い続けていたこと
会社を再始動させながら、
私はずっと考えていました。
「学校現場は今、どうなっているだろう?」
「あの先生は困っていないだろうか?」
「子どもたちはICTをどう使っているだろう?」
そしてもう一つ、強く思い続けていたことがあります。
「うちの孫たちは、どんなデジタル環境の中で育っていくんだろう?」
タブレット学習、動画、SNS、アプリ——
子どもたちのまわりには、
私が子どもだった頃には想像もしなかった
“デジタルの世界”が広がっています。
ICT支援員として3年半現場を見てきたからこそ、
良い面も、危うい面も、全部知っています。
だからこそ、
「孫たちには、ICTを正しく・安全に・楽しく使ってほしい」
という気持ちが自然と湧いてくるのです。
ICT支援員として過ごした日々は、
思っていた以上に自分の中で大きな存在でした。
それは 学校現場の子どもたちのため であると同時に、
自分の孫たちの未来を守るためでもある と気づいたのです。
■ そして、久留米へ“復帰”
そして今年、私は再び 久留米市でICT支援員として復活 しました。
1年間離れていたからこそ、
復帰初日の学校の空気は胸に沁みました。
教室のざわざわした音、
子どもたちの明るい声、
先生の忙しそうな資料のめくる音。
すべてが懐かしく、
「ああ、やっぱりここが自分の居場所なんだ。」
そう心から思いました。
■ なぜ、この連載を始めるのか
再び現場に戻ってきた今、強く思うのは——
“現場で起きている本当のことを伝えたい”
ということです。
ICT教育はニュースで語られ、制度で語られる。
しかし、実際の学校では……
・先生方の葛藤
・子どもたちの可能性
・タブレットの“現実”
・学校文化の違い
・成功と失敗の積み重ね
・ICT支援員の役割の誤解
こうした“リアル”が日々繰り返されています。
3年半の現場経験と、
1年の会社再始動期間、
そしてこの復帰のタイミング。
「今だから書けること」 を、この連載に込めたいのです。
■ この連載で届けたいもの
・現場での小さな成功
・見逃されがちな支援員の仕事
・先生方が抱える本音
・子どもたちが見せてくれる成長の瞬間
・ICT活用の“理想と現実”
・ブランク明けだからこそ見えた変化
これらを、飾らず、嘘なく、誠実に書いていきます。
ICTは道具であり、環境であり、
そして“人と人をつなぐ力”でもあります。
■ 次回の第1回は…
「ICT支援員は“パソコンの先生”ではありません。」
まずは広く誤解されている“支援員の本質”からお話ししていきます。
■ すべてのコラムはこちら
https://mbp-japan.com/fukuoka/cncconsultingpro/service1/



