2月は暇で忙しい、戦略立案のすすめ
— 感覚ではなく“数字”で語る店長になる —

「この店は調子がいい」「最近お客様が少ない気がする」
――こんな“感覚”で経営判断をしていませんか?
もちろん、現場の感覚は大切です。
経験を積んだ店長ほど、肌で感じ取る勘の鋭さがあります。
しかし、感覚だけでは店舗運営は安定しません。
それを裏づける“根拠”となるのが、データです。
私がモスバーガーや家電量販店で店長を務めていた時も、
数字を軽視したときほど、判断を誤りました。
反対に、数字を味方につけた時こそ、
お店の課題が見え、成果が安定していったのです。
■データを見ない店長は「勘」で動く店長
売上・人件費・客数・客単価――。
これらは「ただの数字」ではありません。
現場で起きている人と行動の結果です。
「今日は忙しかったから売上が良かった」
「雨だったからお客様が少なかった」
これでは本質にたどり着けません。
重要なのは、“なぜそうなったか”を数字で説明できるかです。
例えば、
・客数が減ったのではなく、客単価が下がっていた
・ランチタイムだけ伸びて、夜が落ちていた
・特定の曜日だけ売上が突出していた
このように数字を分解していくと、
改善すべきポイントがはっきり見えてきます。
■数字を“現場の言葉”に変える
数字はスタッフには伝わりにくい言葉です。
だからこそ、店長が翻訳する役割を担う必要があります。
たとえば、
「今月は客単価が下がった」ではなく、
「おすすめ商品が思ったより出ていないみたいだね」
と伝える。
数字を“行動に落とし込む”ことで、スタッフの意識が変わります。
数字は冷たいものではなく、行動を温めるツールです。
■ES(従業員満足度)も立派なデータ
売上や人件費のような“経営数字”だけでなく、
ES(エンプロイー・サティスファクション=従業員満足度)も
マネジメントの重要なデータです。
スタッフが満足して働いているかどうかは、
数字のようにグラフでは見えません。
しかし、アンケート・面談・日報などを通して
「感じるデータ」として蓄積できます。
ESを高めることは、結果的に顧客満足度(CS)を上げ、
売上にも確実に反映されます。
■今日からできる実践ポイント
・毎週1回、“数字ミーティング”を開く。
売上・客数・人件費をスタッフと共有する。
・数字を分解して原因を探る。
「悪い数字」の前に、「良い数字」の理由も必ず分析。
・ESデータを意識する。
スタッフの声・表情・空気も“見えない数字”と捉える。
次回の第6回は、
「お客様は“待っていても来ない”」。
マーケティングの基本である「集客の仕組み」について、
現場で実践してきた具体例を交えながらお伝えします。
著書紹介
このコラムの内容は、著書
『新米店長の道しるべ:16年の失敗と成功から学ぶ 』
(著:佐々木 康仁/出版社:CNCコンサルティング出版)
をもとにしています。
20年にわたり飲食・小売・サービス業の現場で店長として学んだ「リアルな経験」と、
そこから生まれた実践的なマネジメントとマーケティングの知恵を一冊にまとめました。
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