第5回:マネジメントの基礎はデータにあり

佐々木康仁

佐々木康仁

テーマ:マネジメント

— 感覚ではなく“数字”で語る店長になる —


「この店は調子がいい」「最近お客様が少ない気がする」
――こんな“感覚”で経営判断をしていませんか?

もちろん、現場の感覚は大切です。
経験を積んだ店長ほど、肌で感じ取る勘の鋭さがあります。
しかし、感覚だけでは店舗運営は安定しません。
それを裏づける“根拠”となるのが、データです。

私がモスバーガーや家電量販店で店長を務めていた時も、
数字を軽視したときほど、判断を誤りました。
反対に、数字を味方につけた時こそ、
お店の課題が見え、成果が安定していったのです。

■データを見ない店長は「勘」で動く店長

売上・人件費・客数・客単価――。
これらは「ただの数字」ではありません。
現場で起きている人と行動の結果です。

「今日は忙しかったから売上が良かった」
「雨だったからお客様が少なかった」
これでは本質にたどり着けません。

重要なのは、“なぜそうなったか”を数字で説明できるかです。

例えば、
・客数が減ったのではなく、客単価が下がっていた
・ランチタイムだけ伸びて、夜が落ちていた
・特定の曜日だけ売上が突出していた

このように数字を分解していくと、
改善すべきポイントがはっきり見えてきます。

■数字を“現場の言葉”に変える

数字はスタッフには伝わりにくい言葉です。
だからこそ、店長が翻訳する役割を担う必要があります。

たとえば、
「今月は客単価が下がった」ではなく、
「おすすめ商品が思ったより出ていないみたいだね」
と伝える。

数字を“行動に落とし込む”ことで、スタッフの意識が変わります。
数字は冷たいものではなく、行動を温めるツールです。

■ES(従業員満足度)も立派なデータ

売上や人件費のような“経営数字”だけでなく、
ES(エンプロイー・サティスファクション=従業員満足度)も
マネジメントの重要なデータです。

スタッフが満足して働いているかどうかは、
数字のようにグラフでは見えません。
しかし、アンケート・面談・日報などを通して
「感じるデータ」として蓄積できます。

ESを高めることは、結果的に顧客満足度(CS)を上げ、
売上にも確実に反映されます。

■今日からできる実践ポイント

・毎週1回、“数字ミーティング”を開く。
 売上・客数・人件費をスタッフと共有する。

・数字を分解して原因を探る。
 「悪い数字」の前に、「良い数字」の理由も必ず分析。

・ESデータを意識する。
 スタッフの声・表情・空気も“見えない数字”と捉える。

次回の第6回は、

お客様は“待っていても来ない”」。
マーケティングの基本である「集客の仕組み」について、
現場で実践してきた具体例を交えながらお伝えします。

著書紹介

このコラムの内容は、著書
新米店長の道しるべ:16年の失敗と成功から学ぶ
(著:佐々木 康仁/出版社:CNCコンサルティング出版)
をもとにしています。

20年にわたり飲食・小売・サービス業の現場で店長として学んだ「リアルな経験」と、
そこから生まれた実践的なマネジメントとマーケティングの知恵を一冊にまとめました。

・店長として悩む方
・これからリーダーを目指す方
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そんな方々に“明日から使えるヒント”を届ける内容です。
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佐々木康仁
専門家

佐々木康仁(ITコンサルタント)

株式会社CNCコンサルティング

対面と非対面を組み合わせた独自のマーケティング手法、ChatGPTを活用するための基礎的な講習、小学校などでのICT教育支援を事業の柱とする。数々の職業を経験し“現場感覚”でサポートできるのが強み。

佐々木康仁プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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