第1回:店長とは「利益をつくる職業」
— 離職率を下げるのは“給与”ではなく“関係性” —

「せっかく育ったスタッフが辞めてしまった…」
「募集をかけても人が集まらない…」
多くの店長やオーナーが抱える悩みの一つです。
飲食・小売業の現場では、人材不足が慢性化しています。
しかし、私が20年以上の店舗運営で学んだのは――
人は“待遇”ではなく“関係性”で辞めるということです。
■スタッフが辞める本当の理由
「給料が安い」「休みが少ない」といった表面的な理由の裏には、
“人間関係のストレス”が潜んでいます。
・意見を聞いてもらえない
・感謝されない
・努力を認めてもらえない
つまり、スタッフが求めているのは「承認」と「安心」です。
たとえ忙しくても、「ありがとう」「助かったよ」の一言があれば、
人は頑張れるものです。
私が現場で何度も実感したのは、
「ありがとう」は最強のマネジメントツールだということ。
お金では買えない、心の報酬です。
これを惜しまない店は、自然と人が定着します。
■“共育”の発想で人は育つ
教育(きょういく)ではなく、共に育つ「共育(きょういく)」。
これは私が現場で実践してきた人材育成の基本姿勢です。
店長が教えるだけではなく、スタッフからも学ぶ。
お互いが成長し合う環境をつくることで、
チームに一体感が生まれます。
例えば、新人スタッフに任せた仕事を一緒に見守る。
上手くできたら褒め、ミスをしたら一緒に考える。
この“共に向き合う時間”が、信頼を深める時間になります。
■敵をつくらないリーダーになる
どんなに仕事ができても、
スタッフを敵に回してしまう店長は長続きしません。
以前、私はあるベテランのパートさんから
「店長、いつもちゃんと私たちを見てくれてますね」と言われました。
その言葉が、今も心に残っています。
人は「見てもらえている」と感じるだけで安心します。
観察する、声をかける、感謝を伝える。
この3つを意識するだけで、職場の雰囲気は驚くほど変わります。
■今日からできる実践ポイント
1日1回、スタッフに“ありがとう”を伝える。
どんなに小さな行動でも必ず言葉に。
「共育」の姿勢を持つ。
教えるだけでなく、学ぶ姿勢を見せる。
スタッフの変化を観察する。
元気がない、表情が暗いなどの“サイン”を見逃さない。
次回の第5回は、
「マネジメントの基礎はデータにあり」。
感覚ではなく数字で語る――。
売上・人件費・ES(従業員満足度)をどう読み解くか、
実際の店舗マネジメント経験から具体的にお伝えします。
おまとめコラムはこちら
本連載「現場で磨く!マネジメントとマーケティングのリアル」では、
20年にわたる店舗運営の経験から、“人と数字を動かす力”の本質をお届けしています
これまでの回をまとめて読みたい方は、下記のおまとめページをご覧ください。
[現場で磨く!マネジメントとマーケティングのリアル(まとめページ)]
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マネジメントとマーケティングの“リアル”を、ぜひ感じてください。
著書紹介
このコラムの内容は、著書
『新米店長の道しるべ:16年の失敗と成功から学ぶ 』
(著:佐々木 康仁/出版社:CNCコンサルティング出版)
をもとにしています。
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