第3回:店長が磨くべき“率先垂範力”

佐々木康仁

佐々木康仁

テーマ:マネジメント

— 指示より行動、言葉より背中で伝える —


ある朝、店舗の外を掃除していると、
タクシーの中から中学時代の友人が声をかけてきました。

「おまえ、店長だろ?なんで掃除してるんだ?」

一瞬、胸がチクリとしました。
「確かに…なんで俺が外の掃除を?」と思いながらも、
その日も私は、黙々とゴミ拾いを続けました。

それは、モスバーガーの店長をしていた頃のこと。
当時は“掃除をする店長”が少なかった時代です。
けれど私は、次第にこう思うようになりました。

「上に立つ人間がやらないことは、誰もやらない。」

■現場を動かすのは「言葉」ではなく「行動」

店長という立場になると、どうしても“指示を出す側”になります。
「これをやって」「あれを任せた」――。
でも、現場を本当に動かすのは言葉ではなく行動です。

お客様に見られる場所を自ら掃除する。
スタッフが困っていたら一緒に手を動かす。
忙しい時こそ、率先して動く。

そうした姿勢を見たスタッフは、自然と動き出します。
「店長がやっているから、自分もやろう」
これこそが、最もシンプルで、最も強力なマネジメントです。

■信頼は「汗の量」で生まれる

信頼関係をつくるうえで、言葉よりも大切なのは汗の量です。
どれだけスタッフと同じ現場で汗をかいたか。
どれだけ一緒に悩み、考え、動いたか。

店長が常にオフィスやバックヤードにこもっていては、
現場の空気もスタッフの本音も見えません。
スタッフは、店長の言葉ではなく姿勢を見ています。

率先して動く店長ほど、チームはついてきます。
信頼とは「肩書き」ではなく、「行動」で得るものなのです。

■“見せるリーダーシップ”を意識しよう

率先垂範は、特別な才能ではありません。
「誰よりも先に、誰よりも地味なことをする」だけです。
掃除、あいさつ、声かけ――。
その小さな積み重ねが、やがて“店の文化”をつくります。

リーダーとは、「見せる人」。
だからこそ、店長の背中がチームの方向を決めるのです。

■今日からできる実践ポイント

「誰も見ていないところ」で一つ行動する。
 掃除・挨拶・整理整頓など、小さな行動を積み上げましょう。

スタッフの前で“率先して手を動かす”。
 口で言う前に、まず自分が動く。

行動の理由を一言添える。
 「お客様に気持ちよく入ってほしいから」――これが教育になる。

次回の第4回は、

スタッフが辞めない職場をつくる」。
離職率を下げるのは、給与でもシフトでもなく、
“人間関係”と“承認の文化”です。
16年の現場で見えた「辞めないチームの作り方」をお届けします。

おまとめコラムはこちら

本連載「現場で磨く!マネジメントとマーケティングのリアル」では、
20年にわたる店舗運営の経験から、“人と数字を動かす力”の本質をお届けしています
これまでの回をまとめて読みたい方は、下記のおまとめページをご覧ください。
[現場で磨く!マネジメントとマーケティングのリアル(まとめページ)]
現場の知恵を次の世代へ――
マネジメントとマーケティングの“リアル”を、ぜひ感じてください。

著書紹介

このコラムの内容は、著書
新米店長の道しるべ:16年の失敗と成功から学ぶ
(著:佐々木 康仁/出版社:CNCコンサルティング出版)
をもとにしています。

20年にわたり飲食・小売・サービス業の現場で店長として学んだ「リアルな経験」と、
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佐々木康仁
専門家

佐々木康仁(ITコンサルタント)

株式会社CNCコンサルティング

対面と非対面を組み合わせた独自のマーケティング手法、ChatGPTを活用するための基礎的な講習、小学校などでのICT教育支援を事業の柱とする。数々の職業を経験し“現場感覚”でサポートできるのが強み。

佐々木康仁プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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