第2回:なぜ売上が良い時こそ分析すべきなのか
— 指示より行動、言葉より背中で伝える —

ある朝、店舗の外を掃除していると、
タクシーの中から中学時代の友人が声をかけてきました。
「おまえ、店長だろ?なんで掃除してるんだ?」
一瞬、胸がチクリとしました。
「確かに…なんで俺が外の掃除を?」と思いながらも、
その日も私は、黙々とゴミ拾いを続けました。
それは、モスバーガーの店長をしていた頃のこと。
当時は“掃除をする店長”が少なかった時代です。
けれど私は、次第にこう思うようになりました。
「上に立つ人間がやらないことは、誰もやらない。」
■現場を動かすのは「言葉」ではなく「行動」
店長という立場になると、どうしても“指示を出す側”になります。
「これをやって」「あれを任せた」――。
でも、現場を本当に動かすのは言葉ではなく行動です。
お客様に見られる場所を自ら掃除する。
スタッフが困っていたら一緒に手を動かす。
忙しい時こそ、率先して動く。
そうした姿勢を見たスタッフは、自然と動き出します。
「店長がやっているから、自分もやろう」
これこそが、最もシンプルで、最も強力なマネジメントです。
■信頼は「汗の量」で生まれる
信頼関係をつくるうえで、言葉よりも大切なのは汗の量です。
どれだけスタッフと同じ現場で汗をかいたか。
どれだけ一緒に悩み、考え、動いたか。
店長が常にオフィスやバックヤードにこもっていては、
現場の空気もスタッフの本音も見えません。
スタッフは、店長の言葉ではなく姿勢を見ています。
率先して動く店長ほど、チームはついてきます。
信頼とは「肩書き」ではなく、「行動」で得るものなのです。
■“見せるリーダーシップ”を意識しよう
率先垂範は、特別な才能ではありません。
「誰よりも先に、誰よりも地味なことをする」だけです。
掃除、あいさつ、声かけ――。
その小さな積み重ねが、やがて“店の文化”をつくります。
リーダーとは、「見せる人」。
だからこそ、店長の背中がチームの方向を決めるのです。
■今日からできる実践ポイント
「誰も見ていないところ」で一つ行動する。
掃除・挨拶・整理整頓など、小さな行動を積み上げましょう。
スタッフの前で“率先して手を動かす”。
口で言う前に、まず自分が動く。
行動の理由を一言添える。
「お客様に気持ちよく入ってほしいから」――これが教育になる。
次回の第4回は、
「スタッフが辞めない職場をつくる」。
離職率を下げるのは、給与でもシフトでもなく、
“人間関係”と“承認の文化”です。
16年の現場で見えた「辞めないチームの作り方」をお届けします。
おまとめコラムはこちら
本連載「現場で磨く!マネジメントとマーケティングのリアル」では、
20年にわたる店舗運営の経験から、“人と数字を動かす力”の本質をお届けしています
これまでの回をまとめて読みたい方は、下記のおまとめページをご覧ください。
[現場で磨く!マネジメントとマーケティングのリアル(まとめページ)]
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著書紹介
このコラムの内容は、著書
『新米店長の道しるべ:16年の失敗と成功から学ぶ 』
(著:佐々木 康仁/出版社:CNCコンサルティング出版)
をもとにしています。
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