第1回:店長とは「利益をつくる職業」
— 成功を「偶然」ではなく「仕組み」に変える —

売上が悪いとき、私たちはすぐに原因を探します。
「天候のせいかな」「競合店が増えた」「スタッフの接客レベルが落ちた」――。
ところが、売上が良いときにはどうでしょうか?
「たまたま運が良かった」「キャンペーンが当たった」と、
深く考えずに流してしまうことが多いのではないでしょうか。
私はモスバーガーで店長をしていた頃、オーナーからこう言われました。
「なぜ売上が悪いんだ、じゃない。
なぜ売上が良いのかを考えなさい。」
この言葉が、私のマネジメントの原点になりました。
■「良い時の理由」を知らないと、次は再現できない
売上が良い日や月には、必ず理由があります。
・天候や曜日などの“外的要因”
・新商品やキャンペーンの“販促要因”
・スタッフの接客・チームワークといった“人の要因”
これらを言語化して、数字の裏にある“行動”を把握する。
これを習慣化できれば、良い状態を再現できるようになります。
逆に、「なぜ良かったか」を分析せずに放置すれば、
次に同じ成果を上げるチャンスを逃してしまうのです。
■「成功の原因」をスタッフと共有する
たとえば、ある月の売上が前年比120%を記録したとします。
その要因を店長だけが分析して終わらせるのはもったいない。
・誰の接客が好評だったのか
・どんな声かけが反応を生んだのか
・どの商品がリピートを生んだのか
これをスタッフ全員と共有することで、チームの士気は一気に高まります。
数字をただの結果ではなく、「みんなの努力の証」として見せる。
その積み重ねが、次の目標達成への意欲につながります。
■「売れている理由」を“可視化”する習慣を持とう
売上が良い日は、忙しさに追われて分析を後回しにしがちです。
しかし、忙しい時こそ“現場メモ”を残すことが重要です。
「今日は学生が多かった」「天気が良くテイクアウトが伸びた」
「○○さんの笑顔が良かった」――。
その日感じた“手応え”を簡単に記録するだけでも、
後から見返すと次のヒントになります。
良い結果を偶然にせず、仕組みとして積み上げる。
それができる店長は、どんな環境でも安定した成果を出せるようになります。
■今日からできる実践ポイント
売上が良かった日の理由を3つ挙げる。
「なぜ良かったか」を必ず言葉にしてみましょう。
その成功要因をスタッフと共有する。
成功はチームで分かち合うことで再現性が生まれます。
“良い時こそ反省”を習慣にする。
現状維持こそ、最大のリスクです。
次回の第3回は、
「店長が磨くべき“率先垂範力”」。
リーダーとしての信頼は、言葉ではなく“背中”で示すもの。
現場での一つの行動が、チームの空気を変える瞬間をお伝えします。
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本連載「現場で磨く!マネジメントとマーケティングのリアル」では、
20年にわたる店舗運営の経験から、“人と数字を動かす力”の本質をお届けしています
これまでの回をまとめて読みたい方は、下記のおまとめページをご覧ください。
[現場で磨く!マネジメントとマーケティングのリアル(まとめページ)]
現場の知恵を次の世代へ――
マネジメントとマーケティングの“リアル”を、ぜひ感じてください。
著書紹介
このコラムの内容は、著書
『新米店長の道しるべ:16年の失敗と成功から学ぶ 』
(著:佐々木 康仁/出版社:CNCコンサルティング出版)
をもとにしています。
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