第1回:パソコン選びの基本と“自分に合った仕様”の見つけ方

佐々木康仁

佐々木康仁

テーマ:IT関連

パソコンを選ぶとき、「見た目のデザイン」や「価格だけ」で決めてしまうと、「動きが遅い…」「思ったより使えない機能がある…」と後悔することがあります。
本シリーズでは、「ただ買って使う」ではなく、「自分にフィットするパソコンを選び、使いこなす術」を身につけてもらうことをゴールにしています。
この第1回では、まず “どのくらいの性能が必要か” を見定めるための基本的な考え方と、
失敗しない選び方」のポイントをお伝えします。

①用途を明確にする:何に使うかで必要スペックは大きく変わる

パソコン選びでまずやるべきことは、「自分(または会社・学校)でパソコンを使って何をしたいか」を決めること。用途があいまいなままだと、過剰すぎる性能を買ってムダになるか、不足してストレスを感じるか、どちらかになりやすいです。

たとえば以下のような用途分類があります:

用途例必要となる特徴・重視点
1.ネット閲覧・メール・文書作成・動画視聴(一般的家庭・ビジネス)
動作が軽く、起動やアプリの反応がさほど遅くないこと。スペックより扱いやすさ・快適さ。
2.オンライン会議・Web授業・リモートワーク
カメラ・マイク・Wi-Fiの性能や安定性、バッテリー持続時間、通信環境なども考慮。
3.写真編集・軽めの動画編集・プレゼン資料作成など
データ読み書きや編集にある程度余裕がある性能(速度・容量)を。24型以上モニタや画面品質にこだわる人も。
4.ゲーム・3D編集・CG・AI処理など高負荷用途
専用グラフィックボード(GPU)/多数コア/大容量メモリ/高速大容量ストレージなどが必要。
5.持ち運び重視(移動頻度が高い)
本体重量・バッテリー駆動時間・ACアダプタの重さ/耐久性が重要。薄型/軽量モデル。

用途が決まれば、「どこを重視すればいいか」の優先順位がはっきりしてきます。

②パソコン性能の“3大要素”:CPU・メモリ・ストレージ

パソコンの「構成(スペック)」を見るとき、まず押さえておきたいのが以下の3要素です。これらで「快適に使えるかどうか」の大まかな基準がほぼ決まります。

CPU(演算処理装置)
CPU(=Central Processing Unit:中央演算処理装置)は、パソコンが命令を処理する「頭脳」です。OSやアプリの動作速度は、この部分が大きく影響します。
ブランドとしては、主に Intel (Coreシリーズなど)や AMD (Ryzenシリーズなど)が使われます。
同じ「シリーズ名」でも世代が古いか新しいかで性能差があります。世代が新しいもののほうが効率・速度面で有利なことが多いです。
処理負荷の高い作業(例えば動画編集・ゲーム・3D作成など)では、より上位のCPUが効果を発揮します。

メモリ(RAM:動作中にデータを一時的に置く場所)
メモリは「作業中にパソコンが使うデータを一時的に記憶する場所」。容量が大きいほど、多くのアプリや大きなデータを並行して扱いやすくなります。
最低ラインを超えていないと、動作がやたら遅くなったり頻繁にフリーズするなどストレスになります。4GBだと「最低限」で、快適に使うには 8GB以上 を使うケースが多いです。
動画編集やゲーム、複数の重いソフトを同時に使いたい場合は、16GB以上が余裕を持って使いやすい目安です。

ストレージ(データ保存領域:SSD/HDDなど)
ストレージは、アプリ・写真・動画・文書・OSなどを保存しておく場所です。容量が小さいとすぐに容量不足になります。
最近は高速で信頼性の高い SSD(ソリッドステートドライブ) が主流。特にノートPCではSSDを搭載したモデルがほとんどです。HDDよりも起動・読み書きが速く、衝撃に強いです。
容量の目安としては、用途によりますが「256GB~512GB」が一般用途での最低ラインや標準ライン、動画やデータを多く扱うなら1TB以上を検討するという考え方もあります。

③その他でチェックしたいポイント

構成以外にも、使い勝手や将来性で押さえておきたい点があります。

1.モニタ(ディスプレイ)の大きさ・解像度:
画面が大きいほど作業しやすいが、本体が重くなる傾向。解像度や表示品質(色域など)によって見え方や快適さも変わります。
2.キーボード配列、テンキーの有無:
数字をよく打つ人はテンキー付きモデルが便利。ノートPCでは小型モデルで省略されていることも多い。
3.バッテリー持続時間・重量・携帯性:
外出が多いならこの点が重要。重さが1.5 kgを超えると持ち運びがやや厳しく感じられることもあります。
4.サポート・保証・修理体制:
故障時に頼れる保証やサービスがあると安心。メーカーや販売店を比較しておきましょう。
5.価格とコスパのバランス:
「過剰すぎるスペック」は予算オーバーになるが、「足りなすぎるスペック」は後悔のもと。用途から逆算して「ちょうどよい構成」を見つけるのが肝心です。

④具体的な選定プロセス:失敗しない機種の絞り込み方

実際に店舗やオンラインで機種を選ぶときは、以下の手順で進めるとブレにくいです。

1.用途を決める。 → どんなソフトを使うか、持ち運びの頻度はどうか、予算だいたいどれくらいか。
2.CPU・メモリ・ストレージの最低ラインを決める。(例:メール/文書なら Core i3 や Ryzen 3、メモリ8GB、SSD256GB 以上。動画編集なら Ryzen 5~/メモリ16GB~/SSD512GB~など)
3.持ち運び性・重量・バッテリー時間・価格を比較する。 複数モデルで「似た値段帯なら軽い方/バッテリーが長い方」などを選ぶ。
4.実機でキー配列・画面の見やすさ・操作感を確かめる。(特に店舗で触れるなら)
5.保証やアフターサポートを確認。 故障時・修理対応・アップグレード性などがどうか。
6.最後にコスパを確認。「この価格でこの構成なら納得か?」を自分に問いかける。

⑤まとめ:最初に「ちょうどいい基準」を決めることが大事

・高価すぎるスペックを買っても、使いこなせなければ無駄になりやすい。
・逆に、最低限を下回るとストレスが長続きして後悔につながる。
・用途を明確にし、3大要素(CPU/メモリ/ストレージ)を軸に選ぶ。
・携帯性や保証など“実際の使い勝手”も念頭に。
・最後に「この構成でこの価格なら納得できるか」を自分で判断。

次回予告(第2回へ)


次回は 「初期設定とセキュリティの第一歩—安全な環境を作る」 を扱います。
OSやアカウントの設定、パスワード・ウイルス対策、バックアップの基本などを解説しますので、「購入後すぐ安心して使える環境づくり」を一緒に学びましょう。

パソコン活用シリーズ(全10回)

このコラムは、連載「パソコン活用シリーズ」の一部です。
これまでの回や今後の更新予定は、こちらのまとめページからご覧いただけます。
[パソコン活用シリーズ まとめ(更新中)]
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佐々木康仁
専門家

佐々木康仁(ITコンサルタント)

株式会社CNCコンサルティング

対面と非対面を組み合わせた独自のマーケティング手法、ChatGPTを活用するための基礎的な講習、小学校などでのICT教育支援を事業の柱とする。数々の職業を経験し“現場感覚”でサポートできるのが強み。

佐々木康仁プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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