第7回 家庭と学校をつなぐデジタル活用 ― 保護者の理解と協力を得るには
近年、「生成AI(Generative AI)」と呼ばれる技術が子どもたちの学びにも入り込んできました。文章・画像・動画などを自動で生み出すこの技術は、学習の支援として大きな可能性を秘めています。
しかし、ただ使うだけではなく、「どう使うか」を指導することが、今後ますます重要です。
■ 教育現場での生成AI活用のメリット
授業準備や教材作成を効率化でき、教師の負担を軽減できる。
一人ひとりの理解度に応じた学習プランや演習問題を自動提案できるなど、個別化した支援が可能。
探究学習やアイデア発想を支援する「ブレーンストーミング相手」として使うなど、新しい思考を引き出す手段になる。
■ 注意すべきポイント(“正しく使う力”の育成)
生成AIには誤情報や偏り、不適切な表現を出すリスクもあります。単にAIが出してくれた答えを鵜呑みにするのではなく、「根拠を調べる」「他の情報と照らし合わせる」「自分の言葉でまとめ直す」ことが必要です。
また、生成AIの活用にあたっては、利用ルールやガイドラインをあらかじめ決めておくことが大切です。誤用・不正利用の防止にもつながります。
■ 実践のヒント:授業での使い方アイデア
「AIが出した答えは正しい?みんなで検証しよう」
AIの回答を一度提示し、それが正しいかどうかを児童生徒自身が確かめる活動を取り入れる。ファクトチェックの訓練にもなります。
「発想の出発点にAIを使い、自分たちで磨く」
例えば「こんなテーマで調べてみたい」「新しいものをつくってみたい」という課題に対してAIに案を出させ、生徒自身がその案をとって必要に応じて改変したり深掘りしたりする。アイデア生成の補助として活用。
「使い方・マナー・責任」もセットで教える
AIを使ってはいけない場面や注意点も話す。個人情報の扱い、プライバシー、著作権など、利用上のルールを児童生徒と一緒に確認しておく。
■ おわりに
生成AIは、学びを壁打ちしてくれる相手であり、アイデアの源泉でもあります。ただし、それだけに頼るのではなく、「自分で考えて判断する力」を育てることが最も大切です。
次回は、「ICT支援員という仕事 ― 教育現場を支える専門職」をテーマに、具体的な現場での関わり方や役割についてご紹介します。



