第4回 情報リテラシー教育の重要性 ― AI時代を生きる子どもたちに求められる力

佐々木康仁

佐々木康仁

テーマ:教育・ICT教育

インターネットとスマホ・タブレットが子どもたちの生活に浸透するなか、私たちは「情報は与えられるもの」ではなく「自分で取捨選択し、活用するもの」であると教える必要があります。こうした能力を育てることが「情報リテラシー教育」と呼ばれています。

■ なぜ今、情報リテラシーが不可欠なのか

子どもたちの日常は、SNS・動画・検索サービス・生成AIなど「さまざまな情報源」に囲まれています。何が本当で何が嘘かを見極めないまま使うと、トラブルに巻き込まれたり、誤情報を広めたりするリスクもあります。

情報モラルの指導は「禁止」よりも、「どう使えばいいかを自分で考えさせる」授業設計が効果的です。たとえば、実際の誤情報やトラブル事例を出して子ども自身に「どう判断するか」を考えさせる活動です。

文部科学省が示す「情報活用能力」は、単なる操作技能だけでなく、「必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造する」「情報社会に関わる態度」などを含む構造であることが明記されています。

■ 小学校でできるステップ

端末を扱うルールづくりから始める
 「どこまでいじっていいか」「使ってよい時間や場所」「個人情報の扱い方」などを子ども自身と話し合って決める。

フェイク情報の見つけ方・確認のしかたを教える
 「この情報は誰が書いたか?」「信頼できる根拠があるか?」「ほかの情報と比べて矛盾がないか?」など、チェックの視点を身につけさせる。

発信・共有の責任も教える
 SNSやチャットで情報を共有する際のマナー、他人の意見を尊重する姿勢、誤情報を見たらどうすべきか、などを扱う。

継続的な振り返りと改善
 情報を使った活動後に「どうだったか」「よかった点・注意する点はどこか」「次にどうするか」を子どもと一緒に振り返る習慣をつける。

■ 情報リテラシーが育てる「生きる力」


・誤情報をそのまま信じて困るだけでなく、「発信者・受け手双方の責任」があることを理解できる。
・情報をただ受け取る消費者ではなく、自分で「取る・選ぶ・発信する」主体の立場を持つことができる。
・将来、AIや生成モデルがさらに進化しても、「情報そのものを見抜く目」と「自分の判断力・表現力」があれば、ただ振り回されるだけの存在にはならない。

■ おわりに

情報リテラシーは、ICT機器を導入した端的な「おまけ」ではなく、学びそのものを支える基盤です。
次回は「生成AIが変える学びの形 ― 正しく使う力を育てるには」というテーマでお伝えします。

「未来を育むICT教育」シリーズについて

このコラムは連載「未来を育むICT教育」シリーズの一部です。
これまでの回や今後の更新予定は、下記のまとめページでご覧いただけます。
未来を育むICT教育 ― 全10回の学びをつなぐ総まとめ
ICTと教育のこれからを一緒に考え、未来の学びを育てるヒントを今後もお届けします。

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佐々木康仁
専門家

佐々木康仁(ITコンサルタント)

株式会社CNCコンサルティング

対面と非対面を組み合わせた独自のマーケティング手法、ChatGPTを活用するための基礎的な講習、小学校などでのICT教育支援を事業の柱とする。数々の職業を経験し“現場感覚”でサポートできるのが強み。

佐々木康仁プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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