第1回 ICT教育とは何か ― なぜ今、必要とされているのか
「アクティブラーニング」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。
これは、教師から一方的に知識を受け取る授業ではなく、子どもたち自身が主体的に考え、話し合い、表現する学びのスタイルを指します。
そして、このアクティブラーニングを支えているのがICT(情報通信技術)です。
■ 子どもたちが「受け身」から「主体的」へ
ICTを活用することで、子どもたちは「ただ聞く」だけの授業から「自分で調べ、考える」学びへと変わります。
たとえば社会科の授業で、調べた地域の情報をタブレットでまとめ、友達と意見を交換する。理科の実験では写真や動画を使って観察記録を発表する。
このように、ICTは子どもたちの発想を形にするための“道具”となっています。
■ グループ学習で生まれる「協働」の力
アクティブラーニングの特徴のひとつが「協働学習」です。
タブレットを通して意見を共有したり、共同でプレゼン資料を作ったりすることで、自然と「聞く力」「まとめる力」「チームで考える力」が育ちます。
私が支援に入った小学校でも、以前は発表を苦手にしていた児童が、ICTを活用したグループ発表では自信をもって話せるようになりました。
画面を通して意見を整理しやすくなり、発言のハードルが下がったことが大きな要因です。
■ 学びが広がるデジタル環境
ICTを活用すれば、教室の外にも学びの場が広がります。
オンライン交流で他校の児童と意見交換をしたり、デジタル地図で世界の文化を調べたり。
地域の企業や施設と連携した学習も増えています。
こうした体験は、子どもたちが社会とつながるきっかけになります。
■ おわりに
ICTは、単に授業を便利にするためのものではなく、「子どもたちの学び方」を変える力を持っています。
アクティブラーニングと組み合わせることで、学ぶ意欲と創造力が大きく育つのです。
次回は、「情報リテラシー教育の重要性」について、AI時代を生きる子どもたちに求められる力を考えていきます。
「未来を育むICT教育」シリーズについて
このコラムは連載「未来を育むICT教育」シリーズの一部です。
これまでの回や今後の更新予定は、下記のまとめページでご覧いただけます。
未来を育むICT教育 ― 全10回の学びをつなぐ総まとめ
ICTと教育のこれからを一緒に考え、未来の学びを育てるヒントを今後もお届けします。



