第2回 先生が変わる、授業が変わる ― タブレット活用の実際

佐々木康仁

佐々木康仁

テーマ:教育・ICT教育

GIGAスクール構想によって、全国の小中学校で1人1台のタブレットが導入されました。
最初は「使い方が分からない」「紙でやった方が早い」という声も多く聞かれましたが、今では少しずつ学校現場の空気が変わってきています。
タブレットを「負担」ではなく「学びを支える道具」として使いこなす先生方が増えているのです。

■ 教師の「教える」から「導く」への変化

これまでの授業は、先生が黒板の前で説明し、生徒がそれをノートに書き写す「一方向の学び」が中心でした。
しかし、タブレットを活用することで、生徒自身が調べたり意見をまとめたりする「双方向の学び」へと変化しています。

たとえば理科の授業では、実験結果を写真で記録し、グループで共有。社会科では地図アプリを使って地域を調べ、スライドにまとめて発表する。
こうした活動の中で、子どもたちは自然に「考える力」「伝える力」「協働する力」を身につけていきます。

■ ICTが苦手な先生も一歩ずつ

ICT活用が進む中で、最初のハードルとなるのが「先生の苦手意識」です。
私が支援に入った学校でも、当初は「壊したらどうしよう」「設定が分からない」という不安が多く聞かれました。
しかし、最初の一歩を踏み出した先生が「子どもたちが生き生きしていた」「予想以上に楽しそうだった」と感じると、学校全体が変わっていくのです。

大切なのは「完璧を目指さないこと」。
ICT教育は、先生が使いこなすことよりも、子どもたちが主体的に活用する環境を整えることが目的です。

■ 学びの個別化と多様化が進む

タブレットの導入によって、学習スピードや理解度に応じた「個別最適な学び」が実現しやすくなりました。
一斉授業の中でも、得意な子は自分で課題を進め、苦手な子は動画で復習するなど、学びの形が多様化しています。

また、発達特性のある児童にとっても、音声入力や拡大表示などの機能は大きな支えになります。
テクノロジーが、すべての子どもたちに「学ぶ楽しさ」を広げているのです。

■ おわりに

ICT教育は「特別な授業」ではなく、日常の中に自然と溶け込むものになりつつあります。
次回は、子どもたち自身がどのように学びを変えていくのか――「アクティブラーニングとICT」をテーマにお伝えします。

「未来を育むICT教育」シリーズについて

このコラムは連載「未来を育むICT教育」シリーズの一部です。
これまでの回や今後の更新予定は、下記のまとめページでご覧いただけます。
未来を育むICT教育 ― 全10回の学びをつなぐ総まとめ
ICTと教育のこれからを一緒に考え、未来の学びを育てるヒントを今後もお届けします。

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佐々木康仁
専門家

佐々木康仁(ITコンサルタント)

株式会社CNCコンサルティング

対面と非対面を組み合わせた独自のマーケティング手法、ChatGPTを活用するための基礎的な講習、小学校などでのICT教育支援を事業の柱とする。数々の職業を経験し“現場感覚”でサポートできるのが強み。

佐々木康仁プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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