タイピングの魅力と可能性:紙とペンを超えるアウトプット体験
GIGAスクール構想によって、全国の小中学校で1人1台のタブレットが導入されました。
最初は「使い方が分からない」「紙でやった方が早い」という声も多く聞かれましたが、今では少しずつ学校現場の空気が変わってきています。
タブレットを「負担」ではなく「学びを支える道具」として使いこなす先生方が増えているのです。
■ 教師の「教える」から「導く」への変化
これまでの授業は、先生が黒板の前で説明し、生徒がそれをノートに書き写す「一方向の学び」が中心でした。
しかし、タブレットを活用することで、生徒自身が調べたり意見をまとめたりする「双方向の学び」へと変化しています。
たとえば理科の授業では、実験結果を写真で記録し、グループで共有。社会科では地図アプリを使って地域を調べ、スライドにまとめて発表する。
こうした活動の中で、子どもたちは自然に「考える力」「伝える力」「協働する力」を身につけていきます。
■ ICTが苦手な先生も一歩ずつ
ICT活用が進む中で、最初のハードルとなるのが「先生の苦手意識」です。
私が支援に入った学校でも、当初は「壊したらどうしよう」「設定が分からない」という不安が多く聞かれました。
しかし、最初の一歩を踏み出した先生が「子どもたちが生き生きしていた」「予想以上に楽しそうだった」と感じると、学校全体が変わっていくのです。
大切なのは「完璧を目指さないこと」。
ICT教育は、先生が使いこなすことよりも、子どもたちが主体的に活用する環境を整えることが目的です。
■ 学びの個別化と多様化が進む
タブレットの導入によって、学習スピードや理解度に応じた「個別最適な学び」が実現しやすくなりました。
一斉授業の中でも、得意な子は自分で課題を進め、苦手な子は動画で復習するなど、学びの形が多様化しています。
また、発達特性のある児童にとっても、音声入力や拡大表示などの機能は大きな支えになります。
テクノロジーが、すべての子どもたちに「学ぶ楽しさ」を広げているのです。
■ おわりに
ICT教育は「特別な授業」ではなく、日常の中に自然と溶け込むものになりつつあります。
次回は、子どもたち自身がどのように学びを変えていくのか――「アクティブラーニングとICT」をテーマにお伝えします。
「未来を育むICT教育」シリーズについて
このコラムは連載「未来を育むICT教育」シリーズの一部です。
これまでの回や今後の更新予定は、下記のまとめページでご覧いただけます。
未来を育むICT教育 ― 全10回の学びをつなぐ総まとめ
ICTと教育のこれからを一緒に考え、未来の学びを育てるヒントを今後もお届けします。



