第9回 教科横断・STEAM教育との融合 ― ICTが切り拓く新しい学習スタイル
かつての教室では、黒板とチョークが「学びの中心」でした。
しかし今、タブレット端末や電子黒板、オンライン教材が当たり前のように使われる時代になっています。これがまさに「ICT教育(Information and Communication Technology=情報通信技術教育)」です。単にデジタル機器を導入することではなく、子どもたちが自ら考え、調べ、表現する力を伸ばすための教育改革でもあります。
■ なぜICT教育が必要とされているのか
理由のひとつは、社会の変化のスピードです。
AIやIoT、クラウド技術などが進化するなかで、今の子どもたちが大人になる頃には、今存在しない職業が多く生まれていると言われています。
このような時代に求められるのは、「知識を覚える力」ではなく、「情報を使いこなす力」や「新しい価値を生み出す力」です。ICT教育はその基盤を育てるものなのです。
■ GIGAスクール構想とその背景
文部科学省が進めている「GIGAスクール構想」により、全国の小中学生に1人1台の端末が配備されました。
目的は、学びの格差をなくし、すべての子どもが自分のペースで学べる環境を整えること。
特別支援教育や不登校支援など、多様な子どもたちの学びを支える取り組みとしても注目されています。
■ 現場で見えてきた課題
私はICT支援員として小学校や中学校で多くの先生方と関わってきましたが、現場には「機器はあるけれど使いこなせない」「授業設計の工夫が難しい」という課題も少なくありません。
しかし、先生方が少しずつタブレット活用に慣れていくことで、子どもたちの学びがどんどん変わっていく姿を何度も見てきました。
■ おわりに
ICT教育は「特別なこと」ではなく、これからの社会で「当たり前の力」を育てる教育です。
次回は、「先生が変わる、授業が変わる ― タブレット活用の実際」について、現場の事例を交えながらお伝えします。
「未来を育むICT教育」シリーズについて
このコラムは連載「未来を育むICT教育」シリーズの一部です。
これまでの回や今後の更新予定は、下記のまとめページでご覧いただけます。
未来を育むICT教育 ― 全10回の学びをつなぐ総まとめ
ICTと教育のこれからを一緒に考え、未来の学びを育てるヒントを今後もお届けします。



