愛想のない人間と愛想のあるロボット

佐々木康仁

佐々木康仁

テーマ:マーケティング

「いらっしゃいませ。」
「ご注文はお決まりですか。」
「お待たせいたしました。ごゆっくりどうぞ。」
「ありがとうございました。」

……(無表情で)ハァ〜。

こんな対応をされたことはありませんか?

私は長年、接客業やサービス業に携わってきました。
そのため、どんなお店に行っても、スタッフの態度や言葉遣いにどうしても目が行ってしまいます。
「接客が素晴らしい」と感動することもありますが、その一方で、「これは接客とは呼べないのでは?」と疑問を抱く場面も多くなりました。

たとえば、先日訪れたカフェでのこと。
店員はマニュアル通りの言葉を口にしていましたが、目はスマホを気にしていて、笑顔もなし。
お釣りを渡すときも無言で、最後の「ありがとうございました」も、まるで溜息をつくように小さな声でつぶやくだけ。
この瞬間、私は「この人、本当に接客しているつもりなのかな?」と感じてしまいました。

接客とは、本来、お客様に気持ちよく過ごしてもらうための「コミュニケーション」です。
しかし、それがただの「作業」になってしまうと、サービス業の本質は失われてしまいます。

接客はテクニックである
接客とは、決して感情に左右されるものではありません。
「今日は機嫌がいいから笑顔」「今日は疲れているからぶっきらぼう」では、お客様の印象は大きく変わってしまいます。

ここで重要なのが、「接客はテクニックである」ということです。

お客様が求めるのは、スタッフの「素の感情」ではなく、心地よいサービスです。
たとえば、ホテルの一流スタッフが、どんなに疲れていても、常に落ち着いた笑顔で応対できるのは、それが「プロの技術」だからです。

接客とは、マニュアルに沿った対応をするだけではなく、相手に寄り添う工夫が必要な仕事です。
言葉遣いや所作、表情など、少し意識するだけで、お客様の印象は大きく変わります。

もし「自分は接客に向いていない」と感じる人がいたとしても、それはセンスの問題ではありません。
必要なのは、「技術としての接客」を学び、実践することなのです。

ロボットに負ける人間の接客
最近では、AIを搭載したロボットがホテルや飲食店、コンビニなどで接客をする姿を見かけるようになりました。
彼らはどんなときでも、決められたフレーズを、決められたトーンで話し、常に一定の態度を保ちます。
「いらっしゃいませ」と明るく迎え、ミスのない案内をし、「ありがとうございました」と最後まで礼儀正しく対応する。

もちろん、AIには「おもてなしの心」はありません。
しかし、無愛想な人間よりも、むしろ「気持ちがいい」と感じることすらあるのです。

「こんな対応なら、いっそロボットのほうがいいよね。」

そんな声を、お客様の心の中に生んでしまうことは、サービス業にとって本来あってはならないことです。
しかし、実際にそう思われる場面が増えているのが現実です。

人間だからこそできる接客とは
では、人間にしかできない接客とは何でしょうか?

それは、「その場に応じた心配り」です。
たとえば、お客様が困っている様子を見て、適切なタイミングで声をかけること。
雨の日に濡れて来店したお客様に、さりげなくタオルを渡すこと。
言葉では伝えられない「気遣い」こそ、人間だからこそできる接客の本質です。

ロボットには「温かみのある対応」はできません。
でも、それを人間がしなくなってしまったら、接客の価値はどこにあるのでしょうか?

今一度、自分の接客を振り返ってみてください。
「あなたの接客は、人間らしい温かみのあるものですか?」
それとも、
「機械的な冷たさしかないものですか?」

ロボットに負けない接客を提供するために、私たちは「接客の本質」を見つめ直す必要があるのかもしれません。

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佐々木康仁
専門家

佐々木康仁(ITコンサルタント)

株式会社CNCコンサルティング

対面と非対面を組み合わせた独自のマーケティング手法、ChatGPTを活用するための基礎的な講習、小学校などでのICT教育支援を事業の柱とする。数々の職業を経験し“現場感覚”でサポートできるのが強み。

佐々木康仁プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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