普通の販売員になる方法!その3【流れるような販売】
「いらっしゃいませ。」
「ご注文はお決まりですか。」
「お待たせいたしました。ごゆっくりどうぞ。」
「ありがとうございました。」
……(無表情で)ハァ〜。
こんな対応をされたことはありませんか?
私は長年、接客業やサービス業に携わってきました。
そのため、どんなお店に行っても、スタッフの態度や言葉遣いにどうしても目が行ってしまいます。
「接客が素晴らしい」と感動することもありますが、その一方で、「これは接客とは呼べないのでは?」と疑問を抱く場面も多くなりました。
たとえば、先日訪れたカフェでのこと。
店員はマニュアル通りの言葉を口にしていましたが、目はスマホを気にしていて、笑顔もなし。
お釣りを渡すときも無言で、最後の「ありがとうございました」も、まるで溜息をつくように小さな声でつぶやくだけ。
この瞬間、私は「この人、本当に接客しているつもりなのかな?」と感じてしまいました。
接客とは、本来、お客様に気持ちよく過ごしてもらうための「コミュニケーション」です。
しかし、それがただの「作業」になってしまうと、サービス業の本質は失われてしまいます。
接客はテクニックである
接客とは、決して感情に左右されるものではありません。
「今日は機嫌がいいから笑顔」「今日は疲れているからぶっきらぼう」では、お客様の印象は大きく変わってしまいます。
ここで重要なのが、「接客はテクニックである」ということです。
お客様が求めるのは、スタッフの「素の感情」ではなく、心地よいサービスです。
たとえば、ホテルの一流スタッフが、どんなに疲れていても、常に落ち着いた笑顔で応対できるのは、それが「プロの技術」だからです。
接客とは、マニュアルに沿った対応をするだけではなく、相手に寄り添う工夫が必要な仕事です。
言葉遣いや所作、表情など、少し意識するだけで、お客様の印象は大きく変わります。
もし「自分は接客に向いていない」と感じる人がいたとしても、それはセンスの問題ではありません。
必要なのは、「技術としての接客」を学び、実践することなのです。
ロボットに負ける人間の接客
最近では、AIを搭載したロボットがホテルや飲食店、コンビニなどで接客をする姿を見かけるようになりました。
彼らはどんなときでも、決められたフレーズを、決められたトーンで話し、常に一定の態度を保ちます。
「いらっしゃいませ」と明るく迎え、ミスのない案内をし、「ありがとうございました」と最後まで礼儀正しく対応する。
もちろん、AIには「おもてなしの心」はありません。
しかし、無愛想な人間よりも、むしろ「気持ちがいい」と感じることすらあるのです。
「こんな対応なら、いっそロボットのほうがいいよね。」
そんな声を、お客様の心の中に生んでしまうことは、サービス業にとって本来あってはならないことです。
しかし、実際にそう思われる場面が増えているのが現実です。
人間だからこそできる接客とは
では、人間にしかできない接客とは何でしょうか?
それは、「その場に応じた心配り」です。
たとえば、お客様が困っている様子を見て、適切なタイミングで声をかけること。
雨の日に濡れて来店したお客様に、さりげなくタオルを渡すこと。
言葉では伝えられない「気遣い」こそ、人間だからこそできる接客の本質です。
ロボットには「温かみのある対応」はできません。
でも、それを人間がしなくなってしまったら、接客の価値はどこにあるのでしょうか?
今一度、自分の接客を振り返ってみてください。
「あなたの接客は、人間らしい温かみのあるものですか?」
それとも、
「機械的な冷たさしかないものですか?」
ロボットに負けない接客を提供するために、私たちは「接客の本質」を見つめ直す必要があるのかもしれません。